第69話 初体験の快楽
「……初めてだから緊張するな」
「私もです。ちゃんと優しくしてくださいね?」
「善処はする。痛かったら言ってくれ」
「はい……っ」
「じゃあ……入れるぞ」
そんな優しい囁きに背中がゾクッと震えて、期待で胸が高鳴るのが分かります。
目を瞑って、少し荒くなった息を吐きだしていると、桐島さんが私の穴に……硬い棒を差し込んできました。
「あっ……ん」
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫です……っ」
まだ先っぽが少し入っただけ。それなのに、思わず変な声が出てしまいます。
桐島さんは私のことを思ってか、そのまま何もせずに様子を窺っています。その間に落ち着いて、呼吸を整えて、私の中に侵入した異物感を慣れて受け入れていきます。
「はぁ……はぁ……っ、もう動かしていいですよ」
「もう一度言うが、痛かったらやめるからちゃんと言えよ」
「だい……じょうぶ、ですからっ」
「……分かった。じゃあ、動かすぞ」
「んっ……あっ……」
ゆっくりと、入り口周辺を隈なくなぞるように動かされ、我慢しようとしても声が漏れ出てしまいます。
私の気持ちいいところ探るように、ねっとりと、執拗に掻き回し、抜いては挿してを繰り返され、しつこくイジメられます。
「おっ……ここ、いいだろ?」
「あっ……そこっ……」
「焦るなよ。ちゃんと気持ちよくしてやるからな」
早く。早く。
そんな逸る気持ちを見透かしたように落ち着いた様子で、桐島さんは一定のペースで責めてきます。もどかしい。でも気持ちいい。焦らされて、焦らされて、どうしようもなくなって、頭がおかしくなってしまいそうなのに。そこを避けるように周りばかり……うぅ、意地悪です。
「あっ……ひゃっ……ぁ」
そうして焦らされ続けて敏感になったそこを不意になぞられ、ぐりぐりとほじくるようにされた時、これまでの比ではない快感が背中を駆け巡ります。
頭が真っ白になって、目がチカチカして、溢れる気持ちよさに身体がふわふわしてしまいます。その感覚が収まる前に、何度も、何度も、ちゅこちゅこと抜き挿しされ、快感が上書きされ、継続させられる。
私はそれを、目をギュッと瞑り、身体を強張らせて、情けなく震えながら耐えて、鎮まるのを待つしかできませんでした。
「ふぅ……はぁ……っ」
「気持ちいいか?」
「そ、そんなの……聞かないでください、恥ずかしい……っ」
まだ余韻が残っているのに、そんな優しい声で耳を擽られたら、さっきのを思い出してしまうではありませんか。
それに……私の反応でぜんぶ分かっている癖に。
私の口から言わせるように尋ねてくるなんて……本当にずるい。
「じゃあ、ほぐれてきたところだし……奥まで入れるぞ」
「お、奥……っ」
そ、そうでした。
あまりの気持ちよさに忘れていましたが、まだ入り口の浅いところを掻き回されただけでした……。
それでも私はこの有様だというのに……奥まで入れられてしまったら、いったいどうなってしまうのか。想像しただけでゾクゾクして、息が荒くなります。
怖いけど、期待してしまっている。
待ち望んできゅんとしてしまっている。
「いくぞ」
「あっ、あっ……んあっ……っ」
これまで擦られていた入り口の浅いところを通り抜け、壁に沿って気持ちいいところを刺激しながら、奥へ、奥へとズブズブと侵入されていきます。
「奥まで入ったな。大丈夫か? 痛くないか?」
「はぁ……はぁ……っ、だいっ……じょ、ぶで……す」
桐島さんが優しく気遣いながらしてくれるので痛みはなく、快感が増すばかりです。
でも、まだ奥まで入れられただけ。ここから動かされることを思うと、それだけでおかしくなってしまいそうです。
「もう動かしていいか?」
桐島さんは優しいので、私に判断を仰いできます。
つまり、私の言葉がなければ、桐島さんは動いてくれない。
でも……ひとたびゴーサインを出してしまえばそれは――蹂躙の合図となってしまうでしょう。
怖いです。ですが、それ以上に期待が膨らんでしまって今にも弾けてしまいそうです。
きっと私は、また情けない声で喘ぎ鳴くしかできなくなってしまうのでしょうが……それでも、返事は決まっていました。
「……はい」
言った。言ってしまった。
ここから私にできることは、押し寄せてくるだろう快感に備えることだけです。
でも、そんな覚悟など無意味だと言わんばかりに、私はまた……声を漏らすことになってしまいます。
ゆっくりと、私の奥をなぞりあげられる。
ぞりっと壁に押し当てるように引き抜かれ、また挿し込まれる。
「んっ……あ、はぁん……っ」
奥まで入れられる分、引き抜かれた時の気持ちよさの余韻が長くて……。でも、それが収まる前にまた奥を掻き回されて、積み上がる快感に頭に電流が走るような感覚が続きます。
「ひあっ……あっ、んっ……」
ごりっと抉るようにほじられ、掻き出すように壁をなぞられ、ビクビク身体跳ね上がります。
私がこんなにも乱れているのに、桐島さんは何事もないかのように淡々と責めて、でも私の反応を楽しむように意地悪なことも言って……こんなの、いつまでも耐えられるわけがありません。
「あっ、あっ、あっ……きりっ、しま……さんっ」
「あともうちょっとだ」
「もうっ……むり、ですぅ……っ」
「……よく頑張ったな」
限界を訴える私の想いが届いたのか、桐島さんは奥を弄るのを止めて、ゆっくりと硬いのを引き抜いてくれました。
直後、優しい声色で囁かれ、優しい手つきで撫でられ、じんわりと温かい余韻が広がります。
そして、完全に蕩けて放心している私の耳元に忍び寄る桐島さんのお顔が忍び寄ります。また意地悪な囁きで辱めを受ける。そう予想していましたが、当たらずも遠からずだったみたいです。
「仕上げな」
「ひゃあっ……っ??」
「よし、次反対」
桐島さんは私の耳にフッと息をふきかけて……私を凍り付かせる一言を呟いて、私の耳を優しく弄ぶのでした。
「いっぱい声出してたし……気持ちよかったか?」
「……極上でした」
桐島さんの膝に頭を乗せて力なく横たわる私は、耳をさわさわ撫でられながら気持ちよさの余韻に浸っています。
結局あの後、反対側の耳も容赦なく蹂躙され、私は快感に身も心も任せて、桐島さんのされるがままになっていました。
今日一日宿題を頑張ったご褒美として与えられた桐島さんの膝枕。それにナデナデだけでなく、耳かきオプションまで付けてもらい、至福の時間を満喫しました。
「人にやるのは初めてだったから痛くしないか心配だったが……上手くできたようで何よりだ」
「本当に初めてですか? 指捌きが気持ちよすぎて昇天するかと思いましたよ」
「いっぱい声出してくれて、気持ちいい場所とか分かりやすかったから俺としてもやりやすかったよ」
「うぅ……恥ずかしいのであんまり言わないでください」
桐島さんに耳を弄られるのはとにかく気持ちがよくて……声もまったく我慢することができませんでした。
本当に初めてなのか疑わしいほどに上手で……すっかり虜になってしまいました。
桐島さんの器用な指ならきっと上手だと予想はしていましたが……気持ちいいなんて生易しいものじゃありませんでしたね。あれはもう快楽の暴力です。
我慢なんてできるはずありません。
「……またお願いしてもいいですか?」
「そんなに気に入ったか?」
「こんなにも気持ちよくされたら……ハマってしまわない方が無理がありますよ」
今も桐島さんは私の耳に指を添えて、くにくにとこねるよう弄っています。それだけで中を犯された余韻がずっと蘇ってきて、身体が熱くなってしまうくらい、私はもう……。
「またその指で気持ちよくさせてください」
「言い方」
「またいっぱいイジメてください」
「……うん、もうそれでいいや」
あんなの、知ってしまったらもう元には戻れません。
快楽漬けで私をこんな身体にした責任……ちゃんと取ってもらわないと困ります……っ!
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