第3話

私は蹲っているコリンを見て、かなり心配していた。

「大丈夫。」という言葉は心配させないための大丈夫なのだろう。

「薬ちょうだい。」

とメランに指示した。

「うん。」

メラーを持っていたバッグを地面に置くと、バッグの中を探し、真っ白な薬を取り出した。

「多分それで大丈夫なはず。」

「ありがとう。」

私はそう言うと、コリンに対して、

「ほら、これ飲んで。」

そう笑顔で話した。別に「飲む」のも「飲まない」のも自由だけど、私としては飲んでほしい。私のためにも貴方のためにも。


薬を飲む、体の中を流れる不快感はこの薬特有のものだ。

「ねぇ。」

「お話しようよ。」

そういう声はだんだんと遠のいていって聞こえなくなった。

今あるのは、いつの間にか速くなっていた心音。それと、お姉タップさんの優しい笑顔。それだけが今の私の世界には鮮明に映っている。

そこから段々と世界が広がって色づいていく。

「さぁ、モンスターを探しに行こう。」

「うん。」

私たちはそう返事すると、村の方へと歩き始めた。


「なんでタップと一緒に行動しないんだ。」

ハチがそう俺に話しかける。

「別に、あいつのことを信用してないだけだ。」

パーティーとしてはどうなのかということを、俺は口に出す。何も考えずに口から出るもんだから仕方ないとも言えなくもないだろう。

「お前はすぐにそういう。まったく。」

「あいつらはあいつらで物理系には攻撃できないんぞ。」

あぁ、耳障り。よくそんなことを言えるんだよ。全く、相手の気持を考えたことあるのか。だなんて、俺の口からは言えないよな。大きなブーメランだし。

「いや、人それぞれの生き方だし、あいつらには逃げるっていう選択肢もあるだろ。」

「いいか、一般に物理は足が速い。しかもあっちは職業のせいで重装備なんだから。」

本当に耳障りな声、ことば。あぁ、こういう人間とよく勇者パーティーとして付き合えてきたな。俺。

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魔王よりも暗く。 Rotten flower @Rotten_flower

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