第12話 古代の魔法王国!


「今の何だったんだ?」

 ユウトは叫んだ。

「きっと、千年前の記憶を見せられていたんです」

「誰に見せていたんだ?」ユウトは言った。

「分からないです。それより、わたしたちどこにいるんでしょう」カナミは辺りを見た。

 そこは、暗くどこまでも闇がおおう場所だった。ただ、そこには四つの燭台しょくだいが置かれており、きらめくようにして辺りを照らしている。

「映像を見せていたのは、世界そのものかもしれないです」カナミは言った。

「そうなのか?」

「きっとそうです」カナミは頷いた。「私だって、本当のことは分かりません。ただここは夢と希望が詰まった世界ですよ。それなら、誰かがあの映像を見せていたと考えるより、世界そのものが、私たちに何かを伝えようとしていた、そう考える方がロマンがありそうです」

 ユウトは首を傾げた。「じゃあ、何を伝えようとしていたんだ?」

「それは、分からなないです……」

 ユウトは笑った。「うーん。難しいな。俺は、ごちゃごちゃ考えるより、歩き回って探した方が、得意だぞ」

 カナミはあごに手をあてた。「でも、なぜ導かれたんでしょう?」

「世界によってか?」

 カナミは頷いた。「もしかしたら、世界は、きりを晴らしてほしいのかもしれません」

「そうなのか?」

「さっきの光景をみて、ひらめいたんです。王女と、研究員の男は、自分の全てを捧げて世界を救った。でも、それは完全なものではなく、不完全なものだった。だからもしかしたら、あの二人がやり残したことを、私たちにたくそうとしているのかもしれません」

「じゃあ、ここに呼んだのはあの二人って事にならないか」

 カナミは首を傾げた。「う~ん。そうかもしれないですし、そうじゃないかもしれないですね。やっぱり、考えても分かりませんね」

 突然、闇の中に炎の道が現れた。それは、一つ、また一つと、炎が現れた。それが幾つも集まったとき、炎の道ができあがった。

「これは! 炎がみちびいてくている!」

 ユウトは歩き出した。炎の道は、どこまで先に向かって伸びている。

 しばらく歩くと、大きな扉の前にたどり着いた。

「魔法王国の紋章だ」ユウトは立ち止まった。

「さっき見た光景の中にあった!」

 ユウトは何だか、自分のすべきことが分かった気がした。

「俺は、行くぞ」

「どこに?」

「このとびらの先だ」ユウトは手をかけた。

 それまで黙っていたカマーンが言った。

「本気? どこへ繋がっているかもわからないのに」

 ユウトは頷いた。「魔法王国だ!」

「どうして分かるのよ?」

「紋章があるだろ」

「もしそうだったとして、わたしは行かないわよ。危険だもの……」

「ダメだ。一緒に行こう!」

「勝手に決めないでよ」カマーンは声を荒げた。「わたしは何のメリットもない事はやらない主義なのよ」

 ユウトは言った。

「お前、この世界から脱出したいんだろ?」

「それは当然したいわよ。だけど、危険はごめんだわ。わたしは強くて、可愛くてグレートなオカマなのよ。傷つくことは、苦手よ。危険は怖い。だけど、何もしなければ、一生このまま。そんな人生、えられないし……」

「だったら行こう?」ユウトは言った。

 カマーンは逃げ出そうとした。

「きっと、この扉の先に、おまえの望むものがあるはず!」

「な、何? どいうことよ」カマーンは足をぴたりをと止めた。

「世界が試しているのなら、この先に答えたがあるはずだろ?」

「はったりよ」

「俺たちは導かれれて、ここまでやって来たんだ。だったら、ここに導いたものは何かしてくれって事じゃねぇのかよ? きっと俺たちの望む者の在りかを、教えてくれるはずだ!」

「都合のいい考えよ」

 ユウトは首をふった。「このまま何もしなければ、一生このままだぞ」

「脅すの!」

 ユウトは否定した。「そんなことしねぇよ。なら、自分で選べよ」

 ユウトとは背を向けた。

「わたしを置いて行くの!?」

「自分の人生は自分で決めろ」

「決められないから、迷っているでしょう」

「だったら、俺と来い! 俺が引っ張って行く」

 カーマンは地団駄をふんだ。

「あんた、わたしより弱いのよ! いちよう言っておくけど、わたしのほうが強いんだからね」

 ユウトは笑った。「強さってのは、腕っぷしだけじゃねぇ」

「なら何なのよ」

「生き方だ!」

 カーマンは度肝を抜かれた。

「わ、私は弱いオカマだったわ」カーマンは膝をついた。

「弱くなんかねぇよ。おまえは、ちょっと迷ってただけさ」

「あんた、めちゃくちゃいい奴ー!」

 カーマンはユウトを抱きしめた。

「わたし、あんたについて行くわ。たとええ、進む先が、地獄の先だろうとも!」

 二人は、フォークダンスした。

「俺は行くぞ」ユウトはとびらに手をかけた。

 光があふれ出した。

「私も、行きます。きっと、この先には、幸運が待っているはずです」

 カナミがとびらにふれると、いっそう光が強まった。

「いいわよ。本当に行くわよ! でも、何かあったら、守ってよね」

「どうしようかなww」

「いやー。そこは絶対に守るとか言ってー」

 ユウトはけらけら笑った。

「身体は男でも、心は乙女なのよ。ちゃんと守るって言ってー」

 カーマンがれると、一瞬とびらがきらていて、三人を魔法都市へと転送した。

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