第10話 いざ、霧の世界を探検!


「はあ、あたし、素人にボコられたの!?」

 カマーンは吐息をらした。

「気にするなって」

 カマーンは、落ち込んだ。「わたし、来る日も来る日も修行したのよ。わたし強いのよ。それが、新人冒険者に一本取られるなんて」

「カマーンのおかげで強くなれた」

 カマーンは首を傾げた「はげましになってないわよ」

「俺たちの師匠だろ。師匠ししょうが魔法についていろいろ教えてくれたから、俺たち強くなれたんだ」

「まあ、その点は嬉しいわよ。でも、私のプライドはぼろぼろよ」

 ユウトは頷いた。「とにかく、助かった」

 カマーンは足をフォークダンスしておどった。

「まあ、いいわよ。強くなれたのなら!」

「泣くなよ、師匠」

「もう一度、言って」

「師匠!」

「響きが最高。わたし、こんな日が来るなんて夢にも思わななかった。わたし、素人冒険者に負けちゃったけど、師匠になれたのね! 嬉しいわ」

 カナミは言った。「そろそろ本題に」

「俺たちはまだ、お互いをたたえ合っているんだ」

「そうよ。私たちは、お互いをたたえ合っているの。今は、わたしは喜びと、悲しみの中にいるの。こうやって、二人でたたえ合うことによって、古傷をいやしてもいるのよ」

 カナミは肩をすくめた。

 それからしばらくして。

 カマーンは頷いた。「あなたたち、本当によくやったわ。私が思った以上の成長をしてくれたわ。これから獰猛どうもうきりの世界を探索たんさくしていけるわ!」

「探索?」ユウトは尋ねた。

「冒険者の基本よ」カマーンは立ち上がった。「いい。あなたたちは、新米しんまい冒険者。だから分からないかも知れないけど、冒険者の基本は、その地を調査して歩くことなの。ダメな冒険者は、いきなりお宝とか手に入れようとするのよ」

 ユウトはたからという言葉に反応した。

「宝!」

 カマーンは首をふった。「そう。あなたのような冒険者が真っ先に死んでいくの」

 カマーンは目がたからになったユウトをすった。

「ダメよ。宝に魅入られたら死ぬわ」

「俺死んでもいい!」

 カマーンはユウトをゆすって現実に戻した。

「あ、あぶねぇ」

「冷静さを失ったら死ぬわよ」

 カナミが冷静に言った。。

「まず、私たちは現状確認が必要です」

 カマーンは頷いた。「まず、状況だけど、覚えているかしら? 私たちは外の世界を歩いていたら、きりに飲み込まれてしまったの。だから、私たちは霧の世界の閉じ込まれている状況に置かれている!」

「覚えています」カナミは言った。「私たち依頼を受けて、調査にきたら、霧に飲み込まれてしまった」

「そういうこと」カマーンは頷いた。「私たちがやらなくちゃいけないのは、この閉ざされたきりの世界から脱出。その方法を見つけ出す事よ。その為に、この世界の探索を行わなくちゃいけないってこと」

 カナミはうずいた。「でも、まえに出口はないって?」

「そうなの。それで、私困っていたの」

 カナミはほほに指をあてた。

「ちゃんと調べたんですよね?」

 カマーンは胸を張った。「これでも、上級冒険者よ。調べるべき場所は、すべて見て回ってみたわ」

 ユウトは頷いた。「なら、見逃した場所があるんだな」

「何を急に」

 ユウトは自信満々に言い放った。

「俺の勘はよく当たる!」

「オカマは見逃したりしないわよ」

「それどういう意味だ?」

「オカマはねらった獲物を逃さないのよ」

「意味わかんねぇ。だけど、俺の勘は本当に、よく当たるんだ」

「なら、勝負してみましょう」カーマンは言った。

 それから、二人は、霧の世界を見て回った。一回りしてみたが、世界にはメビウスの輪のように、歩き回ると元の場所に戻ってきた。そこには、たくさんの獰猛どうもうな魔物や、捕食植物が跋扈ばっこしていた。

「確かにな」ユウトは言った。「見て回ったけど、来ただけでもとの場所に戻って来ただけだった」

 カマーンは胸をった。「だから言ったでしょう。この世界に出口はないって」

 カナミは首をふった。

「そんなの困ります。わたしは、まだまだやりたいことが沢山あります」

 ユウトは頷いた。「脱出の方法を探さないとな」

 カマーンは肩をすくめた。「カッコいいこと言って、具体的にどうするのよ?」

「俺の野生のかんによれば、そうだな」ユウトを腕を組んだ。

「そんなに考えたって分からないわよ」

「そうだ」ユウトは手のひらを打った。「地上がだめなら、地下だ! それか、空だな」

 カマーンは首をふった。「あんた馬鹿! 空にはないもないわよ。それに、地下なんてどこにあるのよ。入り口なんてないじゃないの!」

 ユウトは考えた。

、作るとか?」

 カマーンは呆れた。

「って、その手があったか」カマーンは絶叫した。「そうよ。わたしなんておろかだったの」

 ユウトは驚いた。「何だよ。どうしたんだよ」

わたしおろかだったの。ここは剣と魔法の世界よ。魔法は、その想像力より生まれる。つまり、とびらがなければ、作ればいいのよ」

 三人は、話し合った。

 それから、まずためしに、そもそも外へ通じる出口の生成せいせいこころみた。だが、それは失敗に終わった。ためしてみたが、うんともすんとも云わない。とびらは生み出せたものの、とこにも通じていなかった。

「この作戦は、ダメだったわね」

「どうしたダメなんだろう」

「何か、何かが足りないのよ」カーマンは言った。

 ユウトはにやりと笑った。「想像力だ。俺たちは、本当に扉の先に出口があると信じ切れていないんだ!」

 カナミは首を傾げた。

「なら、どうすればいいですか?」

「信じるんだ。例えば、この世界の地下に続くとびらがあって、その地下には本当に出口に通じる扉があるって!

「なるほど」カナミは質問した。「はじめから出口へと通じる扉を想像したら、ダメなんですか?」

「そんな都合よすぎる!」

 三人は、それから何度か試すと、本当に地下へ通じる飛びが現れた。

 三人は飛び上がって喜んだ。

 三人は真っ暗な地下へと続く螺旋らせん階段を下って、地下のそこへと向かって歩き出して行った。

 

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