第8話 修行、修行、修行!


「おれ、才能ねぇ」

 カナミは、った。

「大丈夫です。すぐに、魔法を使えるようになります」

 ユウトは期待の瞳でカマーンを見た。

「少年……がんばれ!」

 ユウトは不安になった。

 それからしばらく休憩して、カマーンが言った。

「いきなり、大技を習得するのは、難易度が高かったかもしれないわね」

 ユウトは頷いた。「俺は、才能ない訳じゃねぇ。ただ、ちょっと難しすぎただけだ」

 カマーンは、魔法の基礎きそを教えた。

「いい、魔法はさっきも言ったけど、自分の望みを具現化ぐげんかしたものなの。だから、炎を望めば、炎が生み出せる。同じ炎でも、炎のイメージが激しく、高熱なイメージ出来れば、より強力な炎となる!」

「なら、俺が魔法を使えなかったのは、そのイメージが弱かったからか?」

 カマーンは頷いた。「その通り。この世界に産まれて、魔法が使えないものはいないから、心配いらないわ。魔法を使うのは、ちょっとしたコツを覚えれば簡単よ」

 ユウトは頷いた。

「さっきはいきなり難しいこと言ったけど、もっと簡単な魔法を教えてげるわ」

 カマーンは、防御力を強化する魔法を教えた。

 防御力を強化する魔法は、自分のイメージによって、身体全体を強化して、どんな攻撃もはじき返す事が可能だった。

「はい、イメージして」

 カマーンは二人に防御魔法をイメージさせると、小石をぶつけた。カナミは、すぐに慣れてきて、小石を弾き飛ばした。

 だが、ユウトはひたいにはこぶが出来た。

「おれ、うまくいかねぇ……」

 ユウトは自分の才能に疑問を持つようになった。俺は、才能ないのかもしれない。この魔法の世界に産まれ、魔法が使えないののは困る……。

 カマーンは言った。「心配いらないわよ」

「本当かよ?」ユウトは肩を落とした。

「あなたからは才能の匂いを感じる」

「気休めはやめてくれ?」

 カマーンは首をふった。「本当のことよ」

「でも、俺はげんに魔法をぜんぜん使えないし」

 カマーンは真剣な表情を浮かべた。

「あなた、私がうそを言っていると思っているの?」カマーンはユウトを見た。

「いや、それは」

「何なのかしらね、本当にあなたからは強い魔法の波動を感じる」カマーンは尋ねた。「あなた、魔法を信じている?」

「勿論。俺は、ずっと一人で生きてきた。だから、ずっと魔法の世界に憧れてきた。夢と、希望、それが俺を今まで生かしてくれたんだ」

 カマーンは笑った。

「やっぱりね」

「何だよ」ユウトは首を傾げた。

「始まりの魔法って知っている?」

 ユウトは首をふった。「知らねぇ」

「始まりの魔法は、この世界が生まれた瞬間より、はじめて魔法をとなえたものが言った言葉があるのよ。その人物は、ゼロ。そう。ゼロは言ったの。魔法の始まりは、夢と、希望、この世界に溢れた希望によって生まれいずる。魔法を使うには、誰よりも夢と、希望を信じぬいた者こそが、最強の戦士になれる!」カマーンは笑った。「わたしが言いたいのはね。あなたは最強の魔法使いになる素質があるってこと」

 ユウトは身震いした。

「俺が、最強の魔法使い……」

「ええ。少なくとも、その可能性を秘めていると私は思うわ。あなたが、魔法を扱えないのは、まだあなたの中で、魔法が恥ずかしがて飛び出してくる瞬間を待ちわびているからなのよ。なにかそう。きっけが必要なのかもしれないわね」

 カマーンは笑みを浮かべた。

 それから、数時間、三人は魔法の練習にはげんだ。






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