第2話 九十九パーセント・未開の地!


 

 ユウトは村を出た。

 目的地は、隣街だった。そこでは、冒険差者ギルドがあるので、そこに向かった。

 すると、道端に、赤くきれいな花が咲いていた。

「うわぁ、綺麗ね」カナミは足を止めて、その花をもうとした。

「ダメだ」ユウトは声を上げた。

 カナミは花をんでしまった。次の瞬間、火炎草かえんそうは炎をふいた。

 カナミのかおは真っ黒になった。

「あはははは」シュウは笑った。「だから言ったのに」

「お、何だ」ユウトは、きらきら光る宝石を見つけた。

  それは、宝石花ほうせきばなだった。

「綺麗ね。でも、さわらない方がいいです」

「俺は、この宝石欲しいぞ」

 ユウトは構わず花をんだ。

次の瞬間、ユウトの持っていた宝石が光りはじめた。その光は、点滅てんめつを繰り返し、だんだんと間隔かんかくを短くしていく。

「何だこれ!?」

 次の瞬間、爆発した。

 カナミは大笑いした。「あはっはは」

「外れだったか」

「だから、触らない方がいいって言ったのに」

 二人は、さらに森の奥深くへ進んで行った。

 まだこの辺りは、村はずれなので危険は少なかった。森の進んで行くと、どんどん森が険しくなっていった。

 今まであった森が、草原のように感じるほどだった。

 目の前には、うでの回らない樹木じゅもくや、かさのついたキノコが立ち並ぶようになった。

「えらい場所に来ちゃったです」

 カナミは感嘆かんたんの声を上げた。

「冒険らしくなってきた」

「あれ、何かしら」カナミはしばらく行って、立ち止まった。

 二人は、小高い丘の上に出た。そこから、辺りが一望できた。

 辺り一帯が見える。どこまでも、樹林が続いている。後ろを振り返ると、小さな村が広大な森に囲まれて存在していた。

 自分たちの村だった。世界に対して、あまりにちっぽけに見えた。

 二人は、森の中をさらに進んで行った。すると、そこには、瘴気しょうきを上げる沼があった。辺りには、霧がただよっていて、ふぃれるものすべてを腐敗ふはいさせていた。

「やべぇ」

 二人は、岩場のかげに隠れてやり過ごした。

 さらに、しばらく行くと、ひつぎが置かれていた。

「どうする?」ユウトは立ち止まった。

「妙なものには、触れないで行くです」

 奥にすすで行く。

 辿り着いた先で、黒い六本足の虫がいた。そいつらは、立ったり、話したりすることがでた。サッカーボールほどの大きさだった。

「よお」

 ユウトは話しかけた。

「誰だおまえは?」それは言った。

「俺は、ユウとだ」

「俺は、ありあり族のアリさんだ」アリは言った。「お前たち、こんな場所で何やてっている?」

 ユウとは答えた。「俺たちは、隣町に向かっているんだ」

「それは、残念だな」

「なぜだ?」

「今森には、危険がハチが飛び回っている。先日、森の動物がそのハチの巣を傷つけてしまって、怒ったハチたちが暴れ回っているんだ!」

 ユウトは、森の奥へ進みたいと言った。

「ダメだ。無理に行こうとすれば、必ず命を落とすぞ」

 ユウトは肩を落とした。

「何か方法はない?」

「なら、俺たちの巣穴すあなを通って行くという方法がある?」

「いいのか?」

「お前は悪い奴じゃなさそうだから、構わない。ただし、通行料が必要だ」

 二人は、通行料として、森に生える、貴重なキノコを採りに向かい、それを手渡した。

「うむ、通っていいぞ」

 アリアリ族の巣穴は、人間が通れるほど、巨大なトンネルになっていた。その、巣穴の奥には、トロッコが置かれていた。巣穴は、巨大な迷路になっている。

「トロッコを操作して、森の奥まで行くんだ」

 アリは言った。

「この地図はタダか?」

「通行料に含まれているから、心配するな」アリは笑った。「地図には、トロッコの進むべき順路が示されている。その道のりにそって進めば打丈夫だ。トロッコには、ハンドルがある。マニュアル通りに操作すれば心配いらないさ」

 ユウトは頷いた。

 二人は、トロッコに乗り込んだ。それから、発車スイッチを押した。

 ゆっくりと、トロッコが進み動き始めた。だんだんと加速して、坂道くだりざかを下り始めた。

 速度が上がって行く。そして、上から下へ、どんどん速度が上げていくと、右へ左へカーブするようになった。

「う、ひょおおおお」ユウトは叫んだ。

 カナミは悲鳴を上げた。「きゃあああああぁッ!!」

 二人は絶叫した。

 途中、アリアリ族の、住宅地が見えた。ドーム型の建物だった。住宅地では、歯磨はみがきをするアリや、パンツを洗濯するもの、宝が収められた頑丈なとびら守護しゅごしている者たちがいた。

 洞窟どうくつの天井から、穴をって、落っこちる者もいた。

 トロッコは、速度を上げて進んで行く。

「あれ」ユウトは叫んだ。

 トロッコの、減速レバーが壊れた。

 ユウトは顔を青くした。「どうしよう」

「ハンドル切って」カナミが叫んだ。

 ユウトは瞬間的に地図を見て、進む方向にハンドルを切った。

 間一髪、トロッコは、工事中の線路に突っ込まなくて、すんだ。

 二人にすぐさま、ピンチがおそった。トロッコは、速度を上げ続けている。減速レバーが壊れてしまったので、止まることができず猛スピードで進んでいる。

「まずことになりました」カナミは叫んだ。

「問題ない」ユウトは叫び返した。「このまま、目的地まで一直線に進むぞ」

「止まるときは?」

 ユウトは言った。「そのときは、そのときだ」

 次の障害がおとずれた。

「おい、線路が三方向に別れているぞ」

 カナミは地図を見た。「地図には、二方向しか書かれていないです」

「そんな馬鹿な」

「本当です」

「どっちにするです?」

「分からねぇよ」

「怖いです」

 ユウトは、直感で、右のレールの道を選択した。トロッコは、火花をらしながら、レールを切り替えた。

「まずい、道を間違えた!」

 見ると、前方の線路が途切れて、地下深くへ落ちている。絶体絶命ぜったいぜつめいのピンチだった。

「どうするです!?」カナミは叫んだ。

 ユウトは、身体の体重移動でトロッコを横にたおすと、横に転がっていた板の上に、乗った。

 偶然かと思った。でも、偶然じゃなかった。

 トロッコは、板のうえをジャンプ台にすると、大きくを描いて、隣の線路の上に着地した。

「凄いです!」カナミは叫んだ。

「うまく言ったぞ! 予定通りだ」

「本当ですか!?」

「俺ならできるって信じていた!」

 二人はガッツポーズした。

 それからしばらくして、トロッコは目的地へたどり着いた。

 ぎりぎりのところで、二人はトロッコから飛び降りた。

 トロッコはばらばらになって、壊れてしまった。

 だが、どうにか目的日は辿り着くことができた。

 

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