要検討

「さっき小村さんが言っていたことどう思います?」

「変なことは言ってないと思うぞ。それになんかハッと気付かされた気がする。」

「私たちの関係の距離感についてですか?」

「それもそうだし、大川に対して僕が本当にしなきゃいけないことも、かな。」

「しなきゃ行けないこと、ですか。それはどんなことですか……?」

「まだ内緒だ。そのうち教えるからさ。」

そう言うと大川はケチと言って僕を軽くポンと叩いてきた。


「ケチでもいいよ。そのうち嫌でも分かるようになるから。」

「では、その時を楽しみに待っておくことにしましょう。」

そう言って大川は今日は付き添ってくれてありがとうございました、と言ってマンションの中へと入っていった。


「さて、この先どうするべきか……。」

家に帰ってから僕はそのことばかりを考えていた。

正直、今日の小村さんが言っていた通りの理想図というものは僕もなればいいなという夢ではある。

ただ、相手は売れっ子アイドルだ。アイドルが一般人と結婚などというニュースでよく辛辣なコメントがついているのを見ている僕は大川にそんな目にあわせたくないという思いから、ためらいがあった。

「どうするのが正解なんだろうなぁ……。ていうかあのアドバイス1つに引っ張られすぎなのか……。」

僕はそう思い、1回落ち着いて考えることにした。

「まず前提として大川との関係性は見直さないとだよなぁ。」

何かと家では一緒に過ごす時間の多い僕と大川だが、本当に家の外、特に学校ではあまり関わりを表に出していないのだ。

小松と村川を巻き込んで四人で一緒という形になっており、僕と大川が一緒にというよりも四人で一緒にと思われてることの方が多いのではないだろうか。

ただ、本当に学校でそんな公に関わっていいのだろうか。

大川は休み時間はいつも他の女子の友達などと話していることが多い。

そんな友達から大川を取ってしまったらそれこそ僕が悪い人みたいになってしまうのではないだろうか。

そんな心配をずっと1人で考えていた。

「うーん、マジでどうするのがいいんだろうなぁ……。」

そんなことを悩んでいると、チャイムが鳴り、僕は玄関先へと向かう。


ドアを開けると大川が立っていた。

「夕飯を作りにきましたよ。」

そう言って大川は家の中へと上がってくる。

「今日は遅いからそんな無理して来なくても良かったのに……。」

そういうと大川はそういうことではないですよ、と言ってキッチンへと向かっていった。

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