お誘い

「ペンを置け〜!チャイム鳴ったぞ〜!」

先生の指示で生徒たちは机の上にペンを一斉に置く。

「後ろから集めてこーい!おいそこ!まだ喋るなー!」

そんな試験監督の先生の声で定期テストは終わりを迎えた。


「なんかあっという間に終わったなぁ……。俺、休み何しようかなぁ……。」

「うちもあっという間だった!ね、休み何しようか?」

帰りがけ、そんな話をしている2人に大川がすごい質問をしていた。

「そのあっという間というのはまさかテストを解き終わるのが……ということではないですよね?」

「え、そうだけど……。」

「うちもそうだったけど……。」

そう言う2人を見てあ、これは夏休みがなくなるな、と僕は思った。


「今回のテスト今までの中でも比較的難しい方でしたよ……?私でもギリギリでしたから……。そんな早く終わるのが少し心配です……。」

そう大川が言うと一気に2人の顔が青ざめていく。

「と言うことはもしかして俺たち……。」

「うちら……。」

「「補修の可能性があるってこと!?」」

そう言って2人はどうしよどうしよと言ってあたふたし始める。

「でも、もう終わってしまったことなので……。現実を受け入れて、頑張ってください。」

「嘘だろ……」

「うちらの完璧な旅行プランがぁぁ……。」


そう言って悲しむ2人と、僕と大川は途中の道で別の方向へ向かう。

今日は小村さんの家に呼ばれているのだ。

「まさか、小村さんの方から私たちを誘ってくれるなんて、少しびっくりしました。」

「確かにな……。この前あった時もそんな積極的って感じじゃなかったもんな……。」


そんな話をしていると教えられた住所のマンションの前に着く。

「ここ、高級マンションですよね……。私の家よりも高いと聞いてますけど……。」

「え、そんな場所なのかここ!?制服なんかよりもっといい服でくるべきだったか……?」

「大丈夫ですよ。学生のうちは制服も正装の1つですから。」

そう言って大川は部屋番号を入れてインターホンに話しかける。

「あら、愛ちゃんと須井くん?今開けるから少し待ってて。」

そう言って数秒後にドアが開き、ロビーが見えた瞬間にもう違いがわかった。

エントランスホールには大きな植物があり、その周りには水がちょろちょろと流れている。

「もうエントランスから違うな……。」

「そうですね……。あのエレベーターの装飾も段違いですね……。」

そんなことを言いながらエレベーターで一気に上へと上がる。

「ここですね……。」

その部屋は明らかに高そうな角部屋だった。

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