真相

大川と片岡が契約をしてから数日。しばらくの間片岡は僕の家に来ていなかったのだが、ついにまた家へとやってきた。

「あらかた情報が掴めたぞ。ただ、結論から言うとなんでこんなことをしたのか分からないって感じだな。」

「で、結局誰がやってたんだ?」

「得られたデータが全部同じ場所で同じ人によって行われてるってことが分かってな。そこからは早かった。」

「その前提は分かった。結局誰だったんだ?」

「まぁ、そう焦るなって。今教えてやるから。」

そう言って片岡はパソコンを開き、僕が手紙を受け取ったテレビ局の職員紹介ページのサイトを開いた。

「お前もよく知ってるであろう人だったんだよなぁ。こいつだぜ。」

そう言って片岡が見せてきたのは斉藤さんだった。


「え、あの斉藤さんが……?なんで?」

「それを今から問い詰めに行こうと思っててよぉ。同じ職場ならワンチャン職場内で収められるから警察なんかにお世話になる必要もなくなるかもしれねぇからよ。」

「僕も行くよ。その真相が分かっただけで大体入れられた時間も分かるし。」

「けっ、そう言うと思ってたわ。だから俺1人で行かなかったんだよなぁ。さっさと行くぞ。」

言い方は少しアレだが、ここにも片岡なりの配慮が見え隠れしていてとても嬉しかったというのが今の僕の本音だ。

正直ここまでしてくれたということに、ただただ感謝しかない。

「んじゃ、問いただしに行きますかぁ!今日は勤務の日のはずだからな。待ってろよ斉藤さぁん!」

そう言って片岡はテレビ局に入っていく。それに釣られるように僕も中へと足を進める。

「あ、斉藤さん今日来てます?ちょっと話がしたくてさ。」

完全にかしこまった言葉とは言えないが、片岡も少しずつ職場で使うような感じの言葉に慣れてきたようだ。

いや、そもそも僕が舐められているからこうなっているのか?

真相はわからないが、片岡はちゃんとかしこまった感じにお願いをすることはできるらしい。


「斉藤さんですか……。あ、いらっしゃいますね。ただ、一時まで空いている時間がシフト上だとないから、その時間に来てくれる?ごめんね片岡君。」

そう言って受付の人はまた業務に戻ってしまった。

「チッ、融通効かないなぁ。しゃーない。一時まで待つかぁ。」

そう言ってテレビ局を出ようとした時に後ろから声をかけられた。

「もしかして僕を探してるのかい?」

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