いつも通り……?
「あ、須井くんおはようございます。」
次の日、大川は登校中にあった僕にいつものように声をかけてくれた。
「大川か。おはよう。」
「今日からの私の仕事は須井くんが怪しまれないようにすることも含まれていますから……。一緒に嘘をつきましょうね……。正直、面倒臭いですけどね。」
そう言って大川は僕に苦笑いをしてくる。
「まぁ、しょうがないさ。もう初めてしまったことだから……向こうに乗っかるしかない……。」
「でも、それは元はと言えば誰のせいですかね……?」
そう言って大川は僕の方をじっと見てくる。
「あ、いやーその、あれじゃん?ほら。大川を守るためにやったんだし……その……。」
そう言うとまた大川の目がこちらを鋭く見てくる。
「いや、なんでもない……。」
「そうですか……。何か言いたいことがあったらまたどうぞ?」
最近の大川は少し僕に対して意地悪だなと思いつつも、どこかで僕のことについて考えてくれているのだと思うとなんだか不思議な気持ちになる。
「お、須井じゃん。今日は元気そうだな。」
「本当だ!昨日よりも元気そうに見える!うちが保証するよ!」
村川と小松もそう言って僕が大川と協力していつも通りのように振る舞っているとも知らずにそう言ってきた。
「私も今朝会った時に昨日よりも元気そうで安心しました。結局私が心配だったので夜に見にいった甲斐がありました。」
そう言って大川も僕をフォローするように言ってくれる。嘘は言っていない。
実際に大川は僕の家に来て様子を見に来てくれた。それは嘘ではなく本当のことだ。
ただ、その真相は僕を怪しんで真偽を確認しに来たのだが、それは僕たちだけの秘密である。
「まぁよかった!須井が元に戻って!うちはそれが嬉しいかな。なんか昨日は大川さんに会う前に戻ったような感じになっちゃってたもん!」
そう言って小松は僕の方を見てホッとしたような顔で笑ってくる。
「思えば私、須井くんの昔を見たことがあまりないですね……。小中学校の頃の話は聞いたことがあるんですけど……。」
「え、待って大川さん須井の小中学校の頃の話知ってるの!?うちの持ってる情報と交換しない?悪くない話だと思うけど……。」
そんな交渉が本人の前で行われているのがまた変な話である。
「あのなぁ……。そう言うのは僕がいないところでせめて交渉しような?」
そう言って僕は小松を軽く肘でつつく。
「はーいわかりましたぁー!じゃあ、大川さん後でチャットで少し……。」
どう言っても作戦を口に出してしまう小松に僕は苦笑いをするしかなかった。
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