たこ焼きパーティー

「んじゃ、お疲れさん!」

村川の一言で僕たちは紙コップをぶつけ合って乾杯をする。

じゅうじゅうと音を立てながらたこ焼き機はいい匂いを醸し出している。

「よし、そろそろひっくり返すか……。」

そう言って村川はたこ焼きをひっくり返そうとするが、中々うまくいかないようで苦戦している。

「はぁ、もううちがやるよ!」

そう言って小松もひっくり返そうとするが、結局うまく行っていない。

「えぇ、意外と難しい!うちならいけると思ったのに!」

そう言って小松もうんうん言いながらひっくり返そうとしている。

「はぁ……僕もできるか分からないけどやってみるか。」

僕はそう言ってたこ焼きの素に千枚通しをすっと入れ込む。

思いの外、たこ焼きはスルッとひっくり返りギリギリ焦げていない綺麗な狐色がお目見えする。


「おぉ……須井、うまいな。」

「うちよりも上手いなんて……。少しショック!」

そんな話をしながら僕たちはたこ焼きを焼いては食べていた。

「それにしても、ついに大川はでかい会場でライブかぁ。すげぇよ、あいつ。」

そう言って村川はスマホ画面をじっと見ている。

「すごいよねぇ、大川さん。うちらが知り合いなのが奇跡なくらいだよね!」

そう言って村川と小松はきゃっきゃと喜びながら話をしている。

「にしても、大川が大きな会場でライブするとなると絶対疲れるし、何かしら休みに好きなことさせてやりたいよな……。」


「じゃあ、何かやりたいことないか聞いてみればいいんじゃないか?」

「そうじゃん!それでうちらで大川さんのやりたいこと叶えてあげようよ!」

村川と小松の提案で大川の休日に僕たちはやりたいことを叶えてあげようという話になった。

「とりあえずメッセージだけは送ってみた。後は全員の日程が合うかだね。」

そんな話をしていると、たこ焼き機から少し焦げた匂いがしてくる。

「あ、しまった!これ焦げてないか!?」

村川の言葉でハッとたこ焼き機の方へと目をやる。

ひっくり返すも既に時遅し。たこ焼きは表面が黒焦げになっていた。


「あぁ、やっちまった。真っ黒だ……。」

「はぁ、これ食うのはちょっと嫌だな……。あ、いいこと思いついたぞ。」

そう言って村川は残っている普通のたこ焼きと、焦げたたこ焼きをそれぞれランダムに入れていく。

「これでじゃんけんで勝った人から皿を選んでいくんだ。これなら連帯責任になるだろ?」

村川のじゃんけんの声で僕たちはそれぞれの手をだす。

結果がどうなったかは僕は言いたくはない。

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