たまにはどうか

「今日もライブの練習で遅くなるので、夕飯は須井くんだけになっちゃいますね……すいません。」

大川は今日の朝、学校でそう言ってきた。

「はぁ、今日もまた大川は居ないのか……。」

ここ数日、大川はほぼ毎日のように大川はレッスンで帰りが遅くなっており、夕飯を1人で食べることが多い。

大川が朝におかずを持ってきてくれる日もあれば、そうではない日もある。

最近は大川はとても忙しいようで、ここ数日は作り置きさえも持ってくる暇が無いようでたまに朝すれ違うと、僕に軽く挨拶をして急足で降りていく姿などをよく見る。

「お、須井じゃねぇか。今日も大川は忙しそうなのか?」

そう声をかけてきたのは村川だった。


「そうみたいだな……。なんか色々と仕事が入ってきてるみたいでさ。」

「まぁ、そうだろうなぁ。ライブ情報もニュースに出てくるようになったし。」

そう言って村川は『ライブ決定!』と太い赤字のフォントで書かれたネット記事を僕に見せてくる。

「そういうことか。大川、ライブするんだな……。」

僕は何も知らないふりをする。大川から正式な発表があるまでは知らないふりをしてほしいと言われていたのだ。

「お前でも知らされてなかったのか……。まぁ、機密情報だもんな!いくらずっと一緒にいるとはいえどもなぁ。」

そう言って村川は納得したような顔をして僕にそうだと言って声をかけてくる。


「今日小松と家でタコパするんだ。お前もくるか?」

「今日も大川はいないし、行こうかな。1人でご飯食べるのも寂しいし。」

「よし、じゃあ飲み物持ってきてほしい!俺とあいつでもう昨日たこ焼きの材料は買ってあるんだ。」

「何がいい?」

「そうだな……普通にお茶だな。たこ焼きには一番合うだろ。」

よかった。普段の村川なら、絶対に炭酸などというはずだ。

僕はあまり炭酸は好きでないので、勝手に1人で安心してしまった。

「じゃ、今日の夜6時に俺の家集合な!」

そう言って村川はバスに乗って家へと帰って行った。


「一応大川には連絡しておくか……。」

もし大川が早めに練習が終わったとしたら、僕がいないことを心配するかもしれない。

『今日は村川の家で村川と小松の二人組と一緒にタコパしてます。もし、早めに帰ってきたら合流してくれてもいいよ。』

そう送って僕は帰り道にコンビニに寄る。

2Lペットボトルのお茶を一本買い、カバンに入れるとそのまま家に帰る。

久々に大川以外と夕飯を食べることに、僕は少しワクワクしながら家へと帰った。

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