部屋チェンジ

「んだよ……こいつ遅くまで起きてるとか言ってたくせに爆睡してんじゃねぇか……。」

お風呂から戻ると、村川は自分が寝るはずのベッドの上で大きないびきをかきながら爆睡をしている。

「はぁ……しゃあねぇ。今日は大川が寝る予定だった部屋に小松に来てもらうか……。」

僕は村川を起こさないように部屋の外に出ると、小屋の方で2人でいるという小松と大川に電話をかけて事情を説明する。

「えぇ……まじで?うちもう歩の分の布団もしいちゃったのにぃ……!」

そう小松は受話器越しに吐息を漏らしている。

「小松さん、気にしないでいいですよ。私たちがその用意した場所で寝るだけなので。」

「えぇー、せっかく歩の横で寝られると思ったのに……。あれ、ちょっと待てよ……。そっかぁ!ふーん?」

「あ、ちょっと小松さん!それ以上口を開いちゃダメです!須井くん!一旦電話切りますね!」

大川のその声を最後に電話はぷつりと切れてしまった。


「なんか向こう少し揉めてたみたいだな。何があったんだろう……。」

そんなことを呟きながら僕は就寝の用意をして小屋の方へと向かう。

「あ、須井来た。じゃあ、大川さんと仲良く夜を過ごしてねーん!」

途中ですれ違った小松にそう言われたが、正直やましいことをするつもりもないし、そういうことをする人とは思われたくないと思っている。

「あ、来ましたね。小松さんがもう布団を用意してくれているみたいなので寝ましょう。もう夜遅いですし、明日は豊作祭が控えていますからね。」

そう言って大川は小松の用意してくれたという布団の方へと向かって行った。


「そうだな。明日それで思いっきり楽しめないのも嫌だしな。」

そんなわけで僕たちは早々に眠ることにした。

というわけにもいかなかった。小松が用意してくれた布団の配置は、お互いの息を感じられるほどの距離になっている。

そのせいでお互いに気になって寝られないのだ。

「あの……須井くんもう少し奥いけませんか……?」

「そういう大川ももう少し奥行けないか?」

「こっちも限界ですよ……。流石にこのままだと寝れませんね。どうしたら……。」

色々と2人で話し合った結果、布団をどちらが床にしくことになったのだった。

「これでやっとゆっくり寝られますね……。」

結局僕が床のカーペットの上に布団をしいて寝ることにした。

「そうだな……。」

そう言った後で僕はまた父親の言葉が頭の中に響く。

どうすれば良いのだろう。今は全く結婚などまで行くつもりはないのに。

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