質問攻め
「あらあら、いらっしゃい。狭い家だけどゆっくりしていってね。」
豊作祭前日、僕たちは電車に揺られながら僕の両親の家までやってきていた。
「お邪魔しまーす!ていうかうち以外はみんな来たことあるってことじゃん!?」
小松はそう言って一番乗りで家の中へと上がっていく。
「あ、ちょ!待てよ!」
そう言って村川も小松を追いかけてお邪魔しますと言った後で家の中に入っていく。
「私もお邪魔しますね。」
そう言って大川も家の中に入っていく。
「じゃあ僕も……。」
ただいまと言って入ろうとした瞬間、母親が僕の肩を叩いて止めてくる。
予想はできていた結果だし、何を聞かれるかはもうわかっていた。
「なんか最近、大川さんといい感じみたいじゃない?でもだからってお母さんからのメッセージを無視するのはダメよ……?」
そう言って母親は僕が未読無視していたメッセージを見せてくる。
「なんか数日前に楽しそうなことしてたらしいじゃない。別にもうお母さんはそこらへんで口を挟むつもりはないわよ。お幸せにとだけは言うけどね。」
じゃあなんであんな大量の質問メッセージを送ってきたんだよと思いながらもありがとうと返事をして家に入ろうとすると母親が止めてくる。
「まぁ、このメッセージの質問を最後にして……だけどね。」
結局こうなるのか……と思いながら僕は母親から送られてきたメッセージを確認する。
『なんか大川さんに膝枕してもらったらしいじゃない?どうだったの?』
そんな質問からくだらない日々の大川の料理についての質問まで全部答えたところで僕はやっと家の中に入ることができた。
「なんだよ須井。親に怒られてたのかぁ?」
そう言って村川がからかうように言ってくる。
「いや、そう言うのではないんだけど少し厄介な質問コーナーに巻き込まれた……。」
そう言うと大川は少し苦笑いをした後で、大変でしたねとだけ言ってきた。
「まぁ、おかげで私たちは須井君のお父さんから昔の色々な制作作品とかを見せてもらえたからいいよね?」
もうどう反応したら良いのか分からない。
大川のことについてを母親から根掘り葉掘り聞かれ、その間に父親によって僕の小学校や中学校の頃の美術の作品の展示ショーが行われていたという。
いくら息子が帰ってきたからとはいえ一言許可くらいは欲しかったものだが、行われてしまったものは仕方がないと割り切り僕はそのまま何も言わずに話を聞くことにした。
幸いにも変なからかいなどを言われることはなかったので、一安心できたのだった。
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