追憶
「懐かしいな……。これは確か雫がよく集めてたカードゲームのカードだよなぁ……。」
3枚あればできるカードゲームでお互い3枚を山札から出して並べて数値の高さを競うゲームだったはずだ。
よく雫の友達と対戦した記憶がある。基本は雫のデッキを借りていたので可愛いカードが多かったのだが、よく相手をしてくれた男の子のカードはどれもかっこいいカードが多く、少し羨ましいなと思ったこともあったりした。
久しぶりに今はどうなっているのかと思い、検索をかけてみるともう絶版になっているらしく、もう買えないのかと少し残念に思ってしまった。
次に送られてきたのは小さなハンモックの写真。
このハンモックはよく雫がまだ小さい頃に昼寝に使っていたものだ。
小学校に進学してからはサイズが合わなくなり、使えなくなったのだが思い出だから捨てたくないと言ってそのままになっていたのだ。
「そういえばこのハンモックで寝てる雫の写真ケータイのクラウドサービスにあったような……。」
久しぶりにクラウド保存サービスを開き、僕はメールアドレスとパスワードを入れてログインをしてみる。
久しぶりにログインしたためか、スマホは大量の写真を同期し始め、一瞬だけ重くなる。
一瞬の固まりの後で、大量の写真を閲覧できるようになる。
記録し始めてからではあるが、これまでの人生の記録とも言っていいだろう。
僕は一番下の方までカーソルをスクロールし、昔の記録を探していく。
「あった……。」
撮った時にはお母さんとお父さんには内緒だよと雫に言われたこの写真。今でも僕はその言いつけを守ってこうしてクラウドサービス以外では見られないようにしているのだ。
「いい笑顔だ……。本当になんで死んだのか分からない……。神の心が気まぐれすぎて本当に……はぁ。」
僕は写真を拡大して雫がハンモックに乗りながらこちらへピースをしてきている写真を眺める。
見る度に雫の毎日のように見せてくれていた笑顔が思いだされ、心がキュッとなる。
「これ以上見てるとマジで泣きそうになるからやめておこう……。」
ただでさえ我慢して雫の色々な物の写真を見ているのに、それに加えて写真までとなると流石に僕の心がもたない。
「今日のところはここら辺にしておくか……。」
僕はスマホを充電場所に戻すと、自分の部屋に戻り少しだけ宿題を進める。
もし実家から帰れない事情ができた時にも対応できるようにするためだ。
勉強していくうちに気が紛れるかと思ったが、全く紛れない。
今日は大川が来たら少し相談に乗ってもらおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます