楽しい時間は光のように
「この地域特有のお土産といったらなんだろうね……。」
唯一空いている駅構内のお土産屋さんを見ながら僕たちはそんな相談をする。
「やっぱりここは信玄餅とか?」
「地域限定お菓子とかもあるんだな……。こう言うのでもいいかもな。」
そんな中で僕と大川は1つの交渉をしていた。
大川としてはほうとうセットを購入して味の研究をしたいが、同時にクラスメイトへのお土産も買いたいという。
そして僕も大川が研究をして美味しいものを作ってくれるのは嬉しいことではあるし、お土産を何人かに渡したい人がいるのも事実だ。
そんな利害の一致もあり、僕と大川は折半をしてほうとうとお土産のお菓子を選んでいた。
「ほうとうはこれでいいとして……。あとはお菓子ですよね。どれがいいですかね?」
僕は限られた広さの店舗の中でどれがいいかと棚を色々と探し回る。
「これはどうだ?」
僕が見つけたのは地域限定のフルーツ味のクッキーだった。
3種類の味があり、ぶどう、りんご、ももというオーソドックスな組み合わせである。
「結構枚数も入ってますし、いいと思いますよ。」
合計は約5000円。1人で出すには確かにきつい値段だ。
僕としてもお土産を渡したい人は数人しかいなかったので、わざわざ大きな箱を買うということをせずに済んだのでお互いに良かったと言えるだろう。
「よし、そっちも買い物終わったみたいだな。良かった良かった。」
お土産屋さんを出ると外で村川と小松がそれぞれ袋を持って待っていた。
「あれ、どっちかお土産買わなかったの?」
小松が僕たちにそう聞いてくる。
「いや、色々あってお互いの理念が一致したから折半にしたんだ。そっちの方がお金も浮くからな。」
そういうと2人は衝撃を受けたような顔をこちらに向けてしてきた。
「そうじゃん……どうせ俺ら配りきれないから折半すれば良かった……。」
「大川さん教えてくれても良かったのに〜!」
そんな2人の悲しい声を聞いた後で僕達は帰りの特急へと向かう。
「そういえば結局1週間分開けといて日帰りだったけどどこか他に行くのか?」
村川は僕と大川にそう聞いてくる。
「村川君、忘れてはいませんか?須井くんの地元の近くには神社があるんですよ?」
「でも、夕紅祭はもう終わって……。まさか!」
「そう、そのまさかだ村川。豊作祭が行われるんだ。それに行かないかっていうのを2人で相談してたんだ。」
そういうとぼーっと聞いていた小松もお祭りお祭りとはしゃぎ始めた。
4人でまた地元に戻って親に挨拶をしに行こうか。そんなことを考えていた。
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