楽しい思い出
注文してから数分後、少し大きめの鍋に入ったほうとうが僕たちのテーブルに運ばれてきた。
「おぉ、すごいボリュームだな……。」
1つの鍋はそれぞれがまぁまぁの大きさがあるので1人で食べ切れるかが最初は少し心配だった。
しかし、その心配はすぐに吹き飛んだ。
太めのうどんが鍋に入っており、普通のうどんよりも麺の量が少ない。
しかし、その分具材もたっぷりでそれによってちょうどいい塩梅に保たれているのだ。
「うん、ちょうどいい感じで美味しいな……!」
取り皿があるのもありがたく、少しずつ野菜と麺を食べられるので良いのだ。
「この味噌が肝みたいですね……。これが他のうどんとは違った美味しさを出しているというわけですね……。頑張れば家でも再現できるかもしれませんね……。」
大川のさっきのバスの中での話を聞いたこともあってか、大川の料理スキルを褒めていいのかが少しわからなくなってきた。
「かぼちゃは最初に少し茹でてからあと入れしてるのかな?うちはよくこういう煮物みたいのやると崩れちゃうからなぁ……。」
そう言って小松は綺麗な形で整っているかぼちゃを見ながら呟いている。
「肉も柔らかいな……。すごいな、これ。」
村川と大川は鶏肉、僕と小松は豚肉のほうとうを頼み、お互いの肉を少し交換したのだがどちらの肉も柔く、硬い部分が無かった。
「重曹とか使えばこの柔らかさができるのかもしれませんね……。私の知っている限りではそうなのですけど……。」
そんな話をしながら食べ進めるとあっという間にほうとうは無くなってしまった。
「はぁー、食べた食べた……!」
「結構ボリュームあったはずなのに結構ぺろりと食べられてしまいました……。」
「もうすっかり真っ暗だね……。そろそろ帰らないとじゃない?」
この地域でこれだけ暗いとなると、ここよりも暗くないとはいえども暗くなってきている頃だろう。
「今から駅に向かえば帰りの特急には確実に間に合いますよ。駅でお土産も少しなら買う時間があるはずです。」
基本はこの地域はコミュニティバスを利用することで移動ができるので、もしかすると短い距離を移動するにはこの地域の方がいいのかもしれない。
「いやぁ、楽しかったな!」
帰りは横で一緒になった村川が僕にそう言ってくる。
「楽しかった……。大川もお前も小松も楽しそうで良かった。」
そう言うと村川もにっこりとして、お前たちが楽しそうで良かったと言ってきた。
駅が見えてきた。バスは段々と速度を落とし、駅へと入っていった。
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