ラッキーぶどう
「じゃあ、取ってくるわ。とりあえず一房でいいよな?」
そう言って村川と小松はぶどうを取りに行った。
机の上のシートを見てみると何種類かのぶどうが植っているようだ。
種類も色々とあって先ほど案内のおじさんが切ってくれたのはシャインマスカットのようだ。
「なんか面白そうなやつがあったから持ってきたぞ〜!」
そう言って村川と小松が持ってきたのはデラウェアだ。
小粒で食べやすいのが特徴と書いてある。
試しに1粒、皮からプチっと取り出して食べてみる。
「あ、これも美味いぞ!」
1粒1粒が小さいので軽い感じでパクパクと食べられるのも良い。
「こっちの方は甘味が凝縮されている感じがあっていいですね。」
大川はデラウェアを1粒口に入れた後でそう呟いていた。
「おい、もう無くなっちまったよ……。」
4人で分けているのでぶどうはあっという間になくなってしまう。
「じゃあ、今度は私たちが取りに行きましょうか。」
大川に誘われて僕はハサミとカゴを持ってぶどうのカットのコーナーへと向かう。
「どれにしますか?さっきの2種類以外がいいですよね……。」
大川と見て回っていると、黄色いテープからはみ出している大きな粒がついているぶどうがあった。
「なぁ大川、あれ気にならないか?」
「あの大きな粒のやつですか?確かに気になりますね……。黄色いテープからも出ているので取ってもいいやつですよ。」
僕はそれでも心配になったので念のためということで案内をしてくれたおじさんに尋ねることにした。
「すみません、あれ一応テープの外ではあるんですけど取っていいか心配で……。」
「どれどれ……?あぁ、これか。いいですよ。落下にだけは気をつけて。」
そう言っておじさんはまたゆっくりと待機室のような場所の中へと戻っていった。
「大丈夫なら遠慮なくっと……。」
僕はハシゴを大川と協力して少しずつ移動させ、ぶどうが取れる位置へとセットする。
「須井くん、くれぐれも落ちないようにしてくださいね?」
「わかってるよ。危なそうだったら諦めるから。」
ハシゴを登る。一気に上の方へと行った僕はぶどうに手を伸ばす。
枝が見えたので僕はハサミでパチンとぶどうを切ってキャッチする。
そのままハシゴを降り、下にいる大川のカゴにぶどうを入れると、大川は驚いた顔をした。
「ん?大川、どうしたんだ?」
「須井くん、これ巨峰ですよ……!高級ぶどうです!これを取っていいなんてラッキーですね……。」
大川はそう言って巨峰を見ながらうっとりとしていた。
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