サプライズ

「フルーツ狩りか……いいな。」

僕たちが選んだのは特急などに乗ればサクッと行くことのできるフルーツ狩りのプラン。

「丁度ブドウも旬ですし、いいと思いますよ。」

「いいじゃん、ブドウ!うちブドウ大好き!」

そんなわけでブドウ狩りのコースに決まり、予約を取ったのだった。


「全員揃いましたね?」

当日の朝、駅で集合した僕たちはそのまま特急列車の出る駅まで移動をする。

「この特急でいいんだよな?俺よく乗り間違えとかあるから怖いんだよ……。」

思えばよく村川は乗り間違いをよくしているイメージがある。

この前2人で少し遠出をしようとした時も集合の駅を通過する電車に乗ってしまって、危うく予約した時間に間に合わないところだったことがあった。

「大丈夫ですよ。この特急で合ってます。あとは4号車の席に行くだけです。」

特急に乗り込み、僕たちの席を探す。

「あ、ここだよ!ほら!」

小松が見つけた場所は進行方向側の端の2席の2セット。

「お、少し広くていいところじゃないか。」

そう言って村川は真っ先に進行方向側の少し広い席に座り、陣取り始める。

「あ!歩だけずるい!うちも!」

そんなわけで2人に広い席を取られた僕たちは後ろの普通の席に座る。

そこで、気づいたことがあった。

「あれ、これ村川と小松のいる席こっち側に回転させられるんじゃないか?」

それらしき説明が前のネットに入っており、僕は説明を読む。

「あ、本当ですね。2人に言ってみましょうか。」

僕と大川は2人に席を回転させられることを話すと、2人は席を回してくれた。


「これならお互いに広く席を使えますね。」

席を回転させると、後ろの荷物置き用のスペース以外そのまま移動するのでお互いに少し広めに席を使えるようになるのだ。

「それで、実はうちと大川さんからサプライズがありまーす!」

そう言って2人が取り出したのは人数分の捨てれる容器に入っているお弁当だった。

「弁当じゃねぇか!あぁ、だから駅弁を買うなって俺に言ってきてたんだな?」

なんとなく昨日大川がどこかに出かけていくのをみていたのと、さっき村川が駅弁を買おうとして小松に止められているのをみて察してはいたが、やはりお弁当だったようだ。

「おぉ、美味しそうだ。」

蓋を開けてみると中にはおにぎり、漬物、おひたし、鳥の照り焼きと十分な量のおかずが入っていた。

「うん、美味しい。さすがだな……。」

僕は思わず美味しくてそう呟いてしまう。

「うん!これは美味いな!」

僕たちは大川と小松のお弁当を堪能した後で少しのお楽しみタイムへと突入することにした。

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