学期末最後の登校

「ちぇっ。なんで今日だけ学校に行かなくちゃいけないんだよ……。」

登校中、横にいる村川はそう言って嘆いている。

「しょうがないじゃないか。期末も無くなった分終業式だけは行かなきゃいけないってことなんだから。」

定期テストがインフルエンザの流行により無くなった後で、終業式は予定通りに行われるために休みボケしている僕たちは少し面倒くさいなと思いながら登校する羽目になってしまっているのだ。

「まぁ、いいのではないでしょうか?久しぶりにクラスの皆さんにも会えますし、それに私も久しぶりに皆さんに会えて嬉しいです。」

「うちも大川さんと久しぶりに会いたかったんだよ!会えてよかったよー!」

そう言って小松は大川に抱きついている。

最初の頃は小松もこんな事はなかったのにいつの間にか大川に抱きついたりと距離感が変わった。

村川も最初の頃は小松と僕以外と話すことが無かったが、最近は大川や他のクラスメイトなどとも積極的に交流するようになった。

勿論、僕もそうだ。今までは小松や村川ばかりと話して他の人との会話を避けていた。

けど、あの日。そう、横にいるこのmegumi……いや、大川を助けた時から僕の生活は少しずつ変わっていった。

それが顕著に出たのが文化祭だ。普段なら表に出ることのない内装班に僕は入ることが多いのだが、今回は調理、それに提供のヘルプまでもした。

正直どうしてここまでできるのか僕にも分からないが、何かしらの大川のカリスマのようなものが関係しているのかもしれない。


「須井くんはそういえば今日、日直ですよね?頑張ってくださいね?」

「あ、そうそう。学期末の日直は面倒臭いらしいぞ?」

「うち1回それ聞いたことあるよ!なんか色んな課題とか書類とかの整理を手伝わさせられるんだって……。」

そんな恐ろしい内容の日直業務を聞いた後だと、どうしても学校に行きたくなくなってしまう。

「はぁ……そんなことなら今日仮病を使えばよかった……。」

そうポロッと口に出したが、それに対して3人は少し疑問そうな顔をしてから口々にこう言ってきたのだ。

「なんで1人でやる前提?」

そこで僕は気づいた。

「え、と言うことは3人も……。」

そう尋ねると3人はそれぞれ、こくこくと頷いて僕の方を見てくる。

「そういうことなら行こうかな……。」

正直1人で沢山の業務を片付けることはだるそうで嫌だったが、4人で手分けしてやるとなれば話は別だ。

「みんなありがとう。」

改めてこんないい友人がいて良かったと思えた。

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