2人の受講者
『頼む、須井。助けてくれ。』
大川との勉強会中にそう村川からメッセージが送られてきた。
『テスト前の勉強ってこと?今回は僕も少しやばいから大川に教わってる最中。来るか?』
それに対して村川はお願いしますとアニメキャラがお辞儀をしているスタンプを送ってくる。
数十分後、玄関のチャイムが鳴り村川と小松の2人がやってくる。
「よ!小松もやばいって言ってて連れてきたぞ〜。」
そう言って村川は家の中に入ってきた。
「大川さ〜ん……助けてぇ!このままじゃうち赤点だよぉ〜……。」
そう言って小松は大川に抱きついている。
「はいはい、2人とも分かりましたから……。須井くんはある程度は理解できましたか?それなら村川君の方頼みます。私は小松さんに教えますので。」
そんなわけでいつぞやのように僕と大川の2人体制で小松と村川に勉強を教えていく。
「ほら、小松さん?休んでないでやりますよ?そんなのじゃあ間に合わないで赤点ですよ!?」
「村川、スマホ一旦没収しようか?スマホばっか見ているぞ?」
その言葉に2人がひぃと言いながらまた勉強を始める。
再開後、村川と小松は最初は少しは調子が良かったが段々とバテてきた。
「なぁ……ちょっと疲れてきたんだけど休まないか……?」
「大川さ〜ん……ちょっと疲れたよ〜……休もうよぉ〜!」
僕と大川は顔を見合わせてどうするかと目で相談をする。
「はぁ……分かりました。コーヒーを淹れますのでそこで休んだら今度こそしっかりやりますからね?」
休憩時間。村川と小松が持ってきたお菓子をつまみながらコーヒーを飲む。
「はぁ〜疲れた……。うちこれ終わっても動ける自信がないよぉ……。」
「やっとこれで半分だろ……?あと半分もやらなくちゃいけないって地獄かよ……。」
大川は計算し尽くしているのかおかわりができないピッタリな量でコーヒーを淹れていたようで飲み終わるとすぐにカップを片付け始める。
「うわ〜!大川さん鬼畜だって〜!うちもう少し休みたいよ〜!」
「あと半分の現実……くっ!きつい!」
「つべこべ言わずにやりますよ?赤点とりたくないでしょう?」
そう言って大川が教科書をそれぞれの場所に開き始める。
「よし、やりますよ。」
「やるぞ。早くしないと赤点になるからな。」
夕方も近くなり、暗くなってきても勉強会は続いた。
村川と小松の悲鳴が聞こえてくる中で僕と大川は2人の勉強を赤点が回避できるようになるまでにした。
期末まであと1週間、この先の授業もしっかり聞いて復習すれば大丈夫だろう。
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