期末大特訓
「じゃあ、まずはここからですよ……?」
日曜日、大川は僕の教科書を借りて、授業の最初の方でやった内容の練習問題を解くように言ってくる。
僕はそれをサクッと解いて大川に見せる。
「まぁ、ここは昨日帰ってきてから少しやったからできるな……。」
「なるほど、ではここからいきましょうか。」
そう言って大川は次の単元のページを開き、僕に渡してくる。
「っと……あれ?」
文化祭前に解いた時はスラスラと解けていた問題が解けなくなっている。僕の中に焦りが出てきた。
「やっぱり継続は力なりという言葉は本当なのですね……。ここから復習しましょうか。まだ間に合います。」
そう言って大川は根掘り葉掘り丁寧にもう一度僕に内容を教えてくれた。
学校の授業もわかりやすいのだが、こうして大川に個別で教えてもらっているとわからなくなった時にすぐに補足説明をしてもらえるのでありがたい。
「では、もう一度ココ解いてみましょうか。解けたら一旦お昼ご飯にしましょう。」
僕は大川に教わったことを思い出して少しずつ問題を解いていく。
この問題には証明が必要な場面があり、成り立っているかどうかなどを書いていかなくてはならないので少し厄介なのだ。
「大川、これでどうだ?」
「どれどれ……。はい、完璧です!では、私はお昼を作るので須井は復習なり、休憩なりしておいてください。お昼ご飯を食べ終わったらまたやりますからね?」
そう言われた僕は一旦ソファへと移り、ごろんと横になる。
キッチンからはおそらくパスタか何かを作っているのだろうがいい匂いがする。
「もうすぐできますからね。少し待っててください。」
数分後、僕は大川の作った和風パスタを食べていた。
「お、これ美味いな。きのことバタと醤油でベースを作ってるのか……。これはいい。」
あっという間にペロリと完食してしまい、僕はまた勉強に戻る。
「では、次はこちらですね。これは先ほどの内容を応用すればできると思います。」
大川のその言葉に僕は問題と睨めっこをする。
「お、本当だ。これはさっきのこの公式を利用したら上手くいくな……。」
そんな感じで僕は少しずつ問題を解き進めていく。今回はスラスラと問題が解けていく。
「そうです、そんな感じです。ほら、解けました。」
大川の言う通りで気がつけばもう問題が解けていた。
「よし、いい感じですね。この調子でどんどん解き進めていきましょう!」
大川のやる気と同じように僕のやる気も上がっていく。
いつの間にか僕は何ページも問題を解き進めていた。
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