期末前

「須井くん、この数日間はどうでしたか?」

「結構楽しかったな……。バイトをしようにもできてなかったから接客業のバイトをやっている気分に慣れてすごく楽しかった。」

ファミリーレストランの帰り、大川と帰る方向は同じなので夜遅いのもあり、僕は大川が不審者などに襲われたりしないようにということも兼ねて一緒に帰宅している。

「そういえば須井くんはバイトをしてないのですよね。まぁ、そういう私もやったことはないのですが……。」

「いや、僕も中学校の時に少しだけおじさんの工場を手伝ったことがあるくらいで、バイトというバイトをしたことはないよ。夏休みに行った実家のあたりで自動車工場をやってたんだ。もう亡くなっちゃったけどね……。」

「そうだったのですね……。それはご愁傷様でした……。」

「そこまで言ってくれてわざわざありがとう。」

夜遅く。たまに横の車道を車が通っていくが、その数は圧倒的に少ない。

「静かですね……。」

「そうだな……。でも、夜なのにうるさい方が嫌じゃないか?」

「それはそうですね。」

そんな他愛もないような会話をしながら笑って帰り道を進んでいく。


「そういえば、1ヶ月後には期末テストですけど、須井くんはちゃんと対策できてますか?」

いつもならもちろんと胸を張って答えられていたはずだ。しかし、今回は違う。

「いや……実はその……。」

「はぁ……。してないのですね。もう、文化祭の準備に浮かれすぎですよ……。」

流石にここで弁明をしても聞いてくれないだろう。大川の負担を減らしたいから毎日のようにパンケーキ作りの練習に時間を使ってたと言っても信じてはくれても、許されることはないだろう。

「いいですか、須井くん。明日から放課後は特訓ですね。今からでも授業内容をしっかり復習すれば間に合います。」

そう言って大川は帰りがけに僕を現実を突きつけた後でマンションへと入っていった。

自分の部屋へとはいると机の上には教科書の山。それで僕は現実へと引き戻される。

「はぁ、今日からまた勉強尽くしだ……。」

そう思いながら僕はノートと教科書を開いて問題を解き進めていく。

「よし、今日はここまでにしよう……。」

僕はお風呂をたてて大川の昨日おいて行ってくれた惣菜にご飯と味噌汁で夕飯にする。

食べた後でお風呂に行くと体にどっと疲れが来たのが分かる。

お風呂を上がると寝室にすぐに向かい僕は眠りにつく。

この3日間の文化祭は僕にとってとても楽しかった。



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