適材適所
「皆さん、お疲れ様でした。」
「お疲れ〜!」
「マジで疲れた……。」
「でもそういう村川、お前途中サボってたじゃん……。」
文化祭終わりだからなのか、フェミレスの席はどこも学生グループでごった返している。
「今回のカフェ、上手く行ったみたいでよかったです……。」
「だな、まさか俺たちのカフェが飲食部門賞を取るなんて思ってもいなかったぜ……。」
そう、僕たちの喫茶店は最後の賞発表の際に、飲食部門で最も優れた団体に贈られる飲食部門賞を貰ったのだった。
「いやー、聞いた話だと別の教室でやってたシェイクドリンクのお店も結構な人気だったみたいでどっちに賞を渡すか迷ったらしいぜ?」
シェイクドリンクのお店の存在はあらかじめ聞いてはいたが、まさかそこまでだったとは。
あの団体とは宣伝をして回っている時にすれ違ったり、前を通ったりしたが確かにすごい列ができていた。
「おそらく賞の決定因子はフードでしょうね……。」
そう言って大川は届いたカルボナーラをフォークとスプーンで綺麗に巻いていく。
「そうか、あっちはシェイクドリンクしか出してないから……!」
村川は納得したような顔をしてセットのスープを飲んでいる。
「でも、賞を取れてなかったとしても楽しかったことに違いはないからいいんじゃない?」
「そうですね。須井くんの言う通りです。賞を取れたとしても楽しくできなかったら意味がないですからね……。そういう意味でも今回のこの喫茶店は大成功だったと言えると思いますよ。」
「うちもやってて楽しかったし、よかったよ〜。忙し過ぎてほぼみんなと話せてなかったけどね……。」
小松は基本的に買い出し担当であったために、ほぼ学校にはおらず定期的に何かがなくなりそうになれば届けてくれていた。
おかげでカフェではパンケーキ以外が品切れになることはなく、常に何かしらのフードを提供できるようになっていた。
「小松さんの買い出しには本当に何回も助けられました……。ありがとうございます。」
「いやいや!うちもやりたくてやってたからいいんだよ!うちはこういう力仕事の方が似合ってるし!」
そう言って小松はニコニコとしながら注文をしたドリアを頬張っている。
「ならいいですけど……。途中は実は少し申し訳ない気持ちだったんですよ。」
その後も話は盛り上がり、気づけば周りの学生たちはどこも解散して帰っていた。
「遅くまで居すぎたな……。そろそろ解散にするか?俺も親に怒られそうだし……。」
「そうですね……。明日は片付けの日ですしもう帰りましょうか。」
そんなわけで僕たちはファミレスを出て、それぞれの帰路へと向かった。
文化祭も終わると、今度は体育祭だがその前に期末テストが待ち受けている。
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