面倒なチャット
「はぁ、結局待ってたんですね……。守衛さんに怒られますよ?」
「まぁいいじゃん?私も真実を確認できればそれで帰るし?」
そう言って大川の旧友である彩菜は大川に対して甘えるように尋ねる。
「で?めぐみんの彼氏はこの人なの?」
「まぁ、そうですけど……。あの、業務中にああいうのやられると普通に私も須井くんも困ってしまうので次からはやめてくださいね?」
「はーい。あ、須井っていうんだ!そういえばあたしの自己紹介がまだだったね。」
そう言って彩菜は僕に握手をしてから自己紹介を始める。
「そこの大川さんの小学校時代一番の仲良しだった松本 彩菜です!あ、これ連絡先ね?めぐみんの昔話とか聞きたいことがあったらいつでも連絡してね〜!」
そう言って彩菜と名乗った少女は学校の裏口へと走っていってしまった。
「はぁ、相変わらず昔と変わりませんね……。まぁ、定期的に変なチャットがくると思いますけど、適当に受け流しておいてください……。大体はあやなんのペースには耐えきれずに無視かブロックをし始めますね……。まぁ、一番やばかったのは自動返信システムで返信してた人ですかね……。」
どれだけヤバいのかと思っていると早速メッセージが送られてくる。
それも1件、また1件とものすごいスピードだ。
「こういうことか……。」
僕はすぐに色々な人がブロックした理由が分かった。
彩菜はいちいちメッセージを送るときに、まとめて送ればいいものを一文ごとにメッセージとして送ってくるのだ。
「そうなんですよ……。一文一文で送ってくるので少し目を離していると一気に50とか来ていることもあるんですよ……。」
確かにこれは自動返信を使い始めた人の気持ちも分からなくない。
「ちょっとこれはどうにかしないとまずいなぁ……。これ、まさか大川ちゃんと返事とか対応してるのか?」
「まぁ、一応は……。でも、いくら友達とは言ってもこの頻度は私もどうにかしなきゃなと思っています……。」
そう離している間にも彩菜からのメッセージが止まらない。
途中からは催促をするような内容がどんどん送られてくる。流石にこれ以上は大変なことになるので僕は一旦『ストップ!』とメッセージを送った。
すると一旦メッセージが止まる。僕はすぐに一文ずつ送ることのないように、改行のことなどを伝えた。
すると、彩菜からは知ってるよと返事が返ってくる。どうやらわざとやっていたようで、それが自分の中の可愛いムーブだったらしい。
『迷惑かけちゃってたのかぁ……ごめんね☆』
と普通にチャットが来たことに安心しながら僕はそのまま大川と帰路を進む。
後1日。文化祭はそれで終わりだ。
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