忍者少女との邂逅

「おっ、主将!おつかれー」

「千石も疲れているだろう」

「まっ、そうなんだけど部活する元気はあるぜ!んで、今日はなにすんだ?」

「今日は素振りをしてから試合だ」

「おしっ、じゃ頑張っか!」


 彼は立って素振りを始めた。

 私が準備をしていたら、その間に他の部員もやってきた。

 最後の一年だから気を引き締めていこうと思う。

 それから稽古を進めていき、試合も全て終えた。

 今日は全勝することができた。


「さっすが主将!すげえな〜」

「ありがとう。それと、片付けが終わった人から帰るのだぞ」


 皆が、はーいと言った。

 私も早く片付けを済ませ、連絡がきていないか確認した。

 今より少し前に終わって待っているとのことだった。

 そして、皆がちょうど出終わったので戸締りをする。


「またな」


 最後までいた千石に声をかけて帰ろうとした。


「どうせ途中まで道同じだし一緒に帰ろうぜ!」


(困ったな。怜に話をする予定だったのだが…)


『千石くんにも話したらどうかな?』

 ーそれもそうだな。


「いいけれど、怜も一緒だぞ」

「おう!じゃ、水嶋送ってから帰んだな〜」


 私は、彼と校門へと行った。

 その近くに怜は立っていた。


「怜、待たせてすまない。千石も一緒なのだが良いか?」

「えぇ、かまわないわ」


 私達は怜の家に向かって歩いていく。

 いつもと遠回りだけれど、話をする時間はたっぷりとれる。


「私の家の方で良かったの?遠くなっちゃうけど」

「元々そのつもりだったからな」


 その会話をしたあとは、沈黙になってしまった。

 自分から話すとは言ったが、なかなか言い出せない。

 その間も時が進んでしまう。

 その時、彼女が口を開いた。


「ねぇ、待っていたけれどそろそろ話してくれないかしら?さすがに我慢の限界よ」

「オレはなんのことか分かんねえけど言うことは言ったほうが、すっきりするもんだぜ!」

「怜、千石…分かった、話すよ」


 話そうとした瞬間、遠くからすごい音がした。


「今のは⁈すまないっ、あとにさせてくれ!」


 私は音のした方へ走った。

 もしや、夢でみたことが?


『急いで‼︎』

 ー分かってる!


 私は路地裏へと走った。

 迷ったが、たどり着いた。

 そこは、私が夢でみた光景と全く同じだった。

 後ろから、怜と千石も来ていたようで驚いていた。

 駆け寄ろうとした。


「危ないので近寄らないでくださーい」


 口調は穏やかなのに手裏剣を放って、敵を壁に追いやっていた。

 そして、私達のところへやってきて


「ふぅ、疲れました〜心配してくれたんですよね?どうもでーす。でも、もう倒したんで大丈夫ですよ〜」


 と、ニコニコ笑って言う。


「あれ、西野か?」

「そうです〜って、千石くんです?」


 知り合いのように話す二人に質問する。


「知っているのか?」

「クラスメイトだからな!」

「もしかして、笠野さんと水嶋さんですか?私、西野忍にしのしのぶです〜」

「千石と同じということは隣のクラスだな。よろしく」


 怜もよろしく、と挨拶をして握手した。

 なんだか和やかな空気感だと思った。

 すると


「おいお前ら!この虎鉄全こてつぜん様を無視して楽しく喋ってんじゃねえぞ‼︎」


 追いやられていた敵が突然大声をあげた。


「あのーそんな倒れてる状態で言われても、迫力ないんですけど〜」


(西野は毒舌だな…)


「うるせえ!立ち上がるに決まってんだろーが!」

「わぁ、すごいです〜でも、立ったところで私にやられてまた終わりですよ?」


 西野が不敵に笑う。

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