第14話

なんの素材使おうかな?

デュラハンの装甲は確定だし、魔力効率を上げるなら純度の高い魔石も使いたい。

でも高すぎてもレベル不相応になるから気をつけないと…


「ご馳走様〜、じゃあ作ってくるね!」


「お粗末さま!

あまり頑張りすぎなくていいからね〜?」


「ありがとう〜、でも頑張るから大丈夫だよ〜!」


ボクを心配してくれてるようだ。

心配しなくても怪我とかはしないのに、心配症だね?

でも心配されるのは嬉しい。


:頑張りすぎないで(文字通り)

:くぉれは、伝わってないですねぇw

:あぁ、凛ちゃん頬引きつってるよw

:これだから無自覚は…いいぞもっとやれ

:凛ちゃんwかわいそすwでもカスミちゃんに武器作ってもらうとか羨ましい

:俺は生産職なんだが、むしろ凛ちゃんの武器でも防具でもいいから作りたい

:残念ながらカスミちゃん程の生産職なんて居ないんだよなぁ…

:魔剣聖剣をごく当然のように作るヤツぞ?

:しかも、素材も自分で採りにいけるし、強すぎるから素材からして使えるレア度が違うw

:…無理だ、勝てぬw


どういうの作ろうかな〜?

んー…あ!いいこと考えた。


「いいこと考えたから、楽しみにしてて〜?」


ボクはそれだけ言うと凛ちゃんに好きに使っていいと言われた部屋に行く。

よし、頑張って作ろう。




――――――




「へ!?

ちょっ、やり過ぎないでね〜!?!?」


最後にいいこと考えたから楽しみにしてて、と言われて私は物凄く嫌な予感がしている。

でも今更部屋に突撃しても邪魔になるだけなので、仕方なく待つことにした。


「…凛、ああなったマスターはかなりヤバいのを作ると思う。」


「…えぇ、そうですわよ?

それこそ、神剣なんて目じゃないくらいの物を作る可能性すらもありますわ」


うぅ…好いてくれてるのは嬉しいんだけど、あまり張り切りすぎないで欲しいなぁ…

神剣を簡単に作ってたところを見たから、張り切ったカスミちゃんがどんなのを作るのか想像もつかないんだよ…


「…あまりカスミちゃんがやり過ぎないように。」


こうなったらもう神頼みしかないと思った私は、小さく祈る。

リルちゃんや一華さんが物騒なことを言ってたけど、それは聞き流すことにした。


「…あまり考えてばかりでも意味ないし、聞きたいことあるんだけど、いいかな?」


私は気分を切り替えて、前々から聞きたかったけど、濁されてた事を聞こうと思う。

カスミちゃんに聞いてもまた濁されるだけだろうから、知ってそうな二人に聞くことにした。


「ん?

凛なら、別にいい。」


「わたくしもいいですわよ?」


「ありがとう!

なら、これについて聞いてもいい?」


そう言って私は懐から少し前に貰った御守りを取り出してみる。

すると、取り出した瞬間に二人の表情が凍った。


「………。

それ、マスターに貰った?」


「……。

ご主人様、それを渡すほど、鈴宮さんに死んで欲しくないんですわね。」


「え、ど、どうしたの?」


やばいものだとは予想していたけど、まさかこの二人が頬を引き攣らせるくらいの代物だとは予想していなかった。

…カスミちゃん、何でこんなやばい物渡してきたの!?


「そ、そんなにやばい代物?」


「安心していい。

それは凛に取ってマイナスになることは無い。」


「そうですわよ?

むしろ、それを持っているなら、例え鈴宮さんがアビスの下に行ったとしても、死ぬことはないと思いますわ。」


えぇ?

今の私、レベル1700超えたくらいって言ってたよね?

で、アビスのモンスターで最低2700はあるんだよね。


…レベル差1000あって絶対に死なないって、どういうこと?

もしかして、私がピンチになったら地上に転移されたり?


それだったら二人が頬を引き攣らせる必要は無いし…


「…どんなのか聞いていい?」


「わたしは別にいい。

けど、マスターが言わないのなら言わない。」


「わたくしも同じですわね。

申し訳ありませんわ。」


「そっか。

うん、そうだよね、ごめんね!」


そうだ、この二人はカスミちゃんの従魔なんだよね。

それなら、カスミちゃんの許可が無いと言えないよね。


「それなら、カスミちゃんがどうしてあんなに強いか聞いてもいいかな?」


あ、こっちも無理かな?


:ワイらもなんであんなにカスミちゃんが強いんかは気になる!

:お前と一緒にすんな!

:じゃあ気にならんのか?

:気になるに決まってるんだよなぁ…

:なんやねんお前!?

:まぁ聞けるんなら俺も知りたい!

:後はどうやってあんなに強くなったんかも気になるな

:何故あんなに外見がロリなのかについては!?

:ただの体質やろ()


うん、外見は体質だと思うな。

私も体質だから、カスミちゃんが体質でもおかしくないと思う。


…いやおかしいね?

下手したら小学校高学年くらいから成長止まってるの?

私でもその時期はまだ成長してたよ?


でもやっぱり、皆カスミちゃんの強さの秘密を知りたいんだね。

私もすごく気になるし、本人に聞くのは…なんか、あれじゃん?


「…ごめん、凛の頼みでも勝手にマスターの過去を言うのは無理。」


「すいません、聞いてもいいといいましたが、ご主人様の昔話は流石に許可が無いと無理ですわ。」


「…だよねぇ」


やっぱり本人に聞くしかないかなぁ。

でも本人に聞いて地雷だったら嫌だし…


「…でも、やっぱり一つだけ言う。

凛は、昔のマスターの親友と似てる。」


「ちょっ!?

リル!?」


「え、私に、似てる?」


自分で言うのもなんだけど、私って相当珍しいと思うよ?

左右で目の色が違う虹彩異色症オッドアイだし、こんなに小さいし。

身長に関しては、まぁ、居るには居るだろうね。


けど、オッドアイの人は珍しいから、そうそう似てる人なんていないと思うけど…

居たのかなぁ?


「勘違いさせてごめん。

似てるのは、口調や雰囲気。」


「口調や、雰囲気…?」


「リル!

怒られても知りませんわよ?!」


「でも、マスターはそろそろ過去を乗り越えるべき。

その為に凛が使えると思った。」


「でもご主人様は過去を気にしてないですわよ?」


「…本気でそう思ってるの?」


「うっ…」


二人が言い争っているのを見ながら、私は考える。

私に口調や雰囲気が似てる人…それならまだいてもおかしくは無いだろう。


それはまぁいい。

けど、その後にリルちゃんが言った、『そろそろ過去を乗り越えるべき』と言う言葉。

これが気になる。


確かにカスミちゃんが起きてることは少ないし、それなのにずっと眠そうだ。

これはもしかしたら過去に何かがあって、トラウマのせいで深く眠れてないのでは?


「ねぇ、リルちゃん、カスミちゃんって、ずっと眠そうだけど、夜、過去のことで深く眠れてなかったりする?」


「ん?

いや、そこは単純にマスターが睡眠好きなだけ。」


「関係ないの!?」


:あー、確かにトラウマやらなんやらで眠れてないのか、それなら納得

:って、関係ないんかい!w

:えぇ…過去が暗いのは間違いないと思うけど、なんか笑えた

:まぁ確かに凛ちゃんが考えた事はなんとなくわかる

:それに過去がトラウマできちんと寝れないんならあんだけ眠そうでも納得だしねw


でも実際は関係なかったけど!

あ、私に似てる人が過去の親友に居て、だからこれだけカスミちゃんは私によくしてくれてるんだね。


割と初対面から優しかった理由が謎だったけど、その謎が解けたね。

謎が解けたのはいいけど、カスミちゃんの過去、気になるね。


考えようにもあまりカスミちゃんの事を知らないことに気付いた私。

本人に聞いたら教えてくれるかな?


そんなことを考えていたら、カスミちゃんが戻ってきた。


「あれ〜?

三人とも、何話してるの〜?」


軽く首を傾げながら私たちにそう聞いてくるカスミちゃん。

首を傾げるカスミちゃんも可愛いね。

でも過去を知るにはまだ仲が足りない、かな。


「んー、なんでもないよ?

そういえば私はカスミちゃんの事をあんまり知らないなって思って、話してただけだよ?

あ、後はこれについて聞いたけど、教えて貰えなかったなぁ。

ね、教えて?」


嘘は付いていない。

あまり私はカスミちゃんの事を知らないから、過去を知りたいと思った。

けど、無理やり聞くのは違う。


自分で話してくれるのを待ちたいな。

大切なことなら、尚更ね。


とりあえず深く突っ込まれる前に、話をそらそうと思って、御守りのことについて聞いてみることにする。

これも正直気になるしね。


「ん〜、内緒だよ〜。

発動しないことが何よりだしね〜。」


ずっと教えてくれないけどね?

やっぱり危険じゃないの!?

そうでないと、こんだけ内緒にすることないでしょ?


怖いなぁ…

まぁ、だけどカスミちゃんが私に害のあるものを渡すことは無い、かな。


そこまで考えて私は少しはっとする。

私、こんなにカスミちゃんの事を信用してたんだなって思うよね。


ふふ、うん、もうカスミちゃんの居ない生活は考えられないね。

勿論、一華さんやリルちゃんもいて欲しいね!


「急に笑ってどうしたの〜?」


笑っていたらカスミちゃんにそんな事を言われた。

まぁ確かに急に笑い始めたら驚くよね。


「んーとね、もうカスミちゃんの居ない生活が考えられないなって思ったらね?

私、こんなに信頼してたんだなって!」


考えていたことを直球に言うと、カスミちゃんは少しだけ赤くなっている。

ちょっと思ったこと言っただけなのに、照れ屋さんだね。


「も、も〜!

あまりからかわないでよ〜!」


「からかってるつもりはないよ?

思ったこと言っただけだしね?」


私はくすくす笑いながら照れてるカスミちゃんを見ている。

リルちゃんや一華さんも少し笑って私とカスミちゃんを見ている。


「り、リルと一華も笑わないでよ〜!?」


「…ん、マスター、でも楽しそう。」


「ふふ、確かに、楽しそうですわね。

涼宮さんに着いてきてよかったですわね。」


リルちゃんは嬉しそうで、一華さんはどこか安心したような、お母さんのような表情でカスミちゃんをみている。

そんな感じに三人でカスミちゃんを見ていると真っ赤になりながらぷるぷるしている。


「り、凛ちゃんの武器!

これ!」


「あ、話そらしたねー?」


「話逸らした。」


「話逸らしましたわね?」


三人で同じ様なことを言って笑うと、スルーして武器の説明に入ってくるカスミちゃん。

その反応も可愛くて三人で笑っている。


「と、とりあえず!

これの銘は【リアン】だよ。」


「リアン…何語だっけ…」


どこかで聞いたことのある言葉な気がするんだよね。

それはともかく、リアンと言う名前で紹介された武器、勿論私の武器なので刀だ。


私が速度特化だからか、物凄く軽い。

それに、刃が凄く薄いのだ。

それこそ、すぐに折れるのではないかと心配になるほどには薄い。


「ん〜?

これはね〜、絆って意味だよ〜。

何故そういう名前にしたかって言うと、この刀は使だからだよ〜」


「…え?」


使用者と共に成長?

どうやって成長するの?

というか、武器が成長って何?


「んふふ〜、驚いてるね〜?」


少しドヤ顔でこちらを見てくるカスミちゃん。

そりゃあ驚くよ!?と言い返したいけどとりあえずは深呼吸を一度挟む。

よし、落ち着いた。


「そりゃあ驚くよ!?」


嘘、落ち着けなかった。

一度の深呼吸で飲み込めるはずがないのです。


「成長する武器って何!?」


カスミちゃんが時折私にぴったりに打ち直すとかならわかるよ!?

あ、もしかしてそういうこと?


「カスミちゃんが時折私に合うように打ち直すの?

それならそうって言って欲しいな?」


「ん〜?

いや〜、持ち主の魔力を吸って勝手に強くなるよ〜?

もし折れたりしても鞘に戻して時間が経てば元通り〜♪

ちなみにある程度までは勝手に強化されるけど、限度はあるからよりいい金属手に入ったら刀に当ててあげて〜?

そしたら勝手に刃の部分の金属変わるからさ〜?」


……。

脳が理解を拒否したがってる。

コメント欄を見てみよ…


:は!?

:成長する武器だと!?

:そんなの武器、鍛冶師泣かせじゃねぇか!?

:わいそれなりに上位の鍛冶師、とんでも武器の登場に恐怖、でもそれ以上に初めての武器にワクワクが止まらない

:お、おう…

:やべぇ、どんな風に作ったらそんな武器ができるのかとか気になりすぎるんだが!?

:高レベ生産職は変態しかいねぇのか!?

:失敬な!どんな風にできるのかとかバラして研究したいだけじゃ!


コメント欄はまた別の意味で地獄だね。

そっか、高レベルの生産職は変態、なるほど。

カスミちゃんは生産職じゃないから変態じゃないんだね!

実力は異常だけど。


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