第11話

今回は短いですけど2話投稿しますので許して…

19時にもう1話投稿します!

カクヨム様でのPV10000ありがとうございます!









「凛ちゃん〜、どうだった〜?」


実は今回、モンスターを沢山連れてきて仕留めたのは、人が増えて凛ちゃんが喜ぶから以外にも、凛ちゃんのレベルをそれなりに上げる為でもあった。


ボクのスキル【嫉妬】で確認してみると、なんとレベルが1400だったはずなのに1750まで上がっている。

レベルが2900とか2800とか2700とかのモンスターを沢山倒した時に近くに居たから、一気に上がったのだ。


だけどそれでもレベルが1750までしか上がってないことから実際に戦って仕留めるよりも相当効率が悪いことが分かる。


ちなみに軽く流したけど、【嫉妬】スキルは簡単に言うと鑑定系の最上位スキル。

普通の鑑定系なら格上の物や、人と生きてるモンスターは鑑定できない。

だけどこのスキルなら人だろうがモンスターだろうが自分よりも格上だろうが鑑定できる。


まぁこのスキルの存在、忘れてたけど。

だからわざわざ鑑定のために組合まで行ったんだよね。

そこらのモンスターとか素材に使うのは面倒臭いからしないけど…

あ、だから忘れてたんだ。


「えっ、と…とりあえず、凄いなって思うよ…?」


苦笑混じりにボクにそう返事する凛ちゃん。

なんか、引かれてる気がする。


「ご主人様はやっぱり凄いですわよ!」


「わっ…!?」


急に後ろから抱き上げられて、首だけで振り向くと一華がボクを抱き上げていた。

恥ずかしいから抜け出そうと思うが、少し疲れていたのかボクはうとうとし始める。

…寝ずにボク、頑張ったよね〜…?


「ん、マスターは寝ていい。

わたし達が居るから、この辺りならよゆー」


「そうですわよ?

ご主人様、今日はすごく頑張ってましたし、少しお休みした方がいいですわ!」


んー…

二人ともそう言うなら、寝ようかなぁ…


そう考えつつもボクはどんどん瞼が重くなってくる。

ボクが勝てる気しない物が睡魔だよ…!

いつか…勝ってやるもん…


そんな事を最後に思いボクは眠る。




――――――




「すぅ…」


「寝ちゃったね…?」


「そうですわね?

多分疲れていたんだと思いますわ!」


「ん、凛、わたし達から離れないように。」


先程まで凄まじい戦闘をしていたとは思えないほどに、安らかで無防備な寝顔を晒している。


私はそのギャップによって苦笑いしか出来ないけど、一華さんとリルちゃんは見慣れているようで、一華さんが抱いているカスミちゃんの頬をつついていたり、リルちゃんがカスミちゃんを優しげな目――あまり表情が動かないから多分――で見つめている。


…私が知らないカスミちゃんを二人は知っている。

それは、少し悔しいな。

そう考えた私は、自然と言葉を口に出していた。


「一華さん、私にカスミちゃん抱かせてくれない?」


「ん?

んー…無理ですわね」


「え!どうして!?」


「だって、今の鈴宮さん、レベル一気に上がりすぎて不安定ですもの。」


「あ…」


言われて気が付いた。

そうだ、一気にレベルが上がったんだった。

だから、確かに今カスミちゃん受け取ると力加減を失敗しそうだね。


勿論カスミちゃんならダメージは負わないだろうけど、それでも力が入ってたら起こしてしまう。

それは確かにダメ。


「凛、こっち来て」


「…?

わかった。」


言われるがままに私は、リルちゃんの元へと向かう。

どうしたんだろう?


「凛、凛は今、体を上手く使えていない。」


「そんなの…分かってるよ…」


自分でも分かっていて、焦っている部分をストレートに突っ込まれて、私は自分でも驚くくらいの、暗い声が出た。

だけど、そのことで謝る前にリルちゃんから続きの話が来る。


「ん、悔しく思ってるなら、いい。

提案、私なら今すぐ凛の体を、凛の意識に馴染ませることが出来る。」


「ッ!!?」


今すぐ体を扱えるようになる、と言うことを言われて、私はつい絶句する。

それと同時に私は、どこかで期待している。


「…リルちゃん、それ、良ければしてくれない?」


期待じゃダメ、自分で頼まなくちゃ。

対価としてどんなことをさせられるのか、少し怖い所もある。

それでも私は、カスミちゃんと一緒に居る為ならどんな対価を払ってもいい。


「…ん、いい覚悟。

じゃあ、対価。」


「…なんでもいいよ。

私に出来ることなら、何でもする!」


「そんなに身構えなくてもいい。

わたしが求めるのは一つだけ。

ただ、マスターとずっと仲良くして欲しい。」


「…え?」


正直、拍子抜けだった。

そんなことでいいのか、とかそんなこと言われなくても、とか言う言葉が脳内に浮かんでは消えていく。


「…そんなの、私がカスミちゃんに頼みたいくらいだよ。

でもね、私はカスミちゃん以外にも、リルちゃんと一華さんとも仲良くしたいって思ってるよ?」


「…そう、それならいい。

わたしとも仲良くなった記念。

きちんと馴染ませてあげる。」


表情は全く変わらないリルちゃんだけど、少しだけ顔が赤くなってる気がするし、尻尾も振っているから喜んでるのかな?


「あ、ちなみに言い忘れてたけど、すごく痛いから。」


「え?

ぐッッ!?!?」


少し微笑みながらかんがえていたら、急に激痛が来て叫びそうになる。

だけど私はこんなんでも探索者。

痛みには慣れているので、なんとか叫ばずにこらえることが出来た。


でもすっごく痛いんだけど!?!?

例えるならなんだろう?

例えが思いつかない程度には感じたことの無い痛み!


でも、痛いだけでこの体に馴染めるなら安いよね。

そう考えて泣きそうになりながらも頑張ってたえる。


「お疲れ。

馴染んだと思う。」


そう言われて、終わったことに気付くと、荒い息を整える。

暫くして漸く整ったので、とりあえず体を確認してみる。


「わっ、本当だ!

私の今の体、こんなに速度出せるんだ!」


今レベルいくつくらいだろう?

気にはなるけど地上に行くまで確認できないから、今はとりあえず戦闘したいかな?


動かすのは前と変わらないくらいには馴染んでるし、後は上手く戦えるかどうか。

とりあえず、全力で動いてみようかな!


:凛ちゃん!?

:やべぇ、凄く痛そうで見てられないって思ってたら気付けばえぐいくらい速度上がってね?

:ほんと、速度上がりすぎて怖いんだが?

:前でも残像みたいなのしか見えなかったのに、今はそれすら見えないんだけど

:れ、レベル1450の俺でも見えねぇ…

:↑ガチガチの上位勢でも見えないだと!?

:おい、これレベルどんだけ上がったんだ!?

:少なくとも1500…いや、1450で見えないなら1600以上か…?

:前までもっと低かったよな!?

:上がりすぎでは!?

:え、本人が戦わないと経験値ってほぼ貰えねぇよな!?

:お、おう!だからあのモンスター共は最低でも2000は無いとおかしいぞ…

:そんなモンスターを瞬殺したカスミちゃんに、そのカスミちゃんと互角に戦うリルちゃんって…

:考えちゃいけない気がしてきた


そう、この動きは最低でも1600は無いとおかしいくらいの動きなのだ。

そんな速度で動いたら、動体視力が追いつかないけど、レベルのおかげで動体視力も上がっているからかな?

凄く見えやすい!


けど見えすぎるからスキルとかは慣らさないとだね。

動体視力上がってくれたおかげで、コメント欄もきちんと見れるようになったしね。


「コメント皆いつもありがとうね!

カスミちゃんの話題で人増えたからってのもあると思うけど、私じゃ見えないくらいコメントの速度やばかった!

でも今はレベルのおかげでみんなのコメント見えるよ!」


こうして改めて言うと、恥ずかしさを感じてしまい、少しだけ赤くなっているのを感じる。

それを皆が気付いたのか、からかうような言葉が沢山流れる。


「も、もう!

あんまりからかわないでよ!?」


ここはダンジョンのアビス。

そんなことも忘れてしまうくらい楽しく感じて、穏やかに時間はながれる。


「凛、モンスター来た。

この場所にいるのはおかしいモンスターだよ。」


「え…?」


:それって…イレギュラー!?

:うっそだろおい!?

:アビスでのイレギュラーとか悪夢でしかないだろ!?

:流石にカスミちゃん起こして逃げないと!?

:いくら強いって言ってもイレギュラーはダメ!!


「に、逃げないと…!」


「凛、大丈夫。

あの程度ならわたしでも一華でも余裕で倒せる。」


「えぇ…?!」


アビスでのイレギュラー、なんだよね…?

レベルいくつか分かんないけど、相当強いはずだよね!?


「イレギュラー?なんだよね?

多分、あれの素材ならマスターも喜ぶと思う。

倒しに行ってくる。」


そう言いながら凄まじい音を立てながらこちらに向かってきていた、凄くでかい鎧のモンスターの元へ向かう。


「あ、り、リルちゃん!?

危ないよ!?」


いくらリルちゃんが強いって言ってもあれはアビスでのイレギュラー。

一体一じゃ分が悪いと思い、一華さんの方を見る。


「リルー!

さっさと倒してくださいましー!

うるさくてご主人様の迷惑ですわよ!」


「ん、急ぐ」


余裕で倒せるのが当たり前とばかりに早く倒せと言っている一華さんが見える。


「ちょっ!?

一華さん!流石にあれは危険だよ!?」


ついつい一華さんに詰め寄る。

だけど、そんな私を見て不思議そうな顔になるだけだった。


「どうしてですの?

あの程度のモンスターにやられるようじゃわたくしのライバルじゃないんですのよ?」


「そ、うなんですか…?

じゃあ、一華さんのあのモンスターなら余裕で…!?」


話しているうちに後ろで戦闘が始まった音が聞こえる。

大丈夫かな…


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