第6話

暴れ者に会うために、俺たちはシムカ伯爵軍やゼロス子爵軍と共に、山や森に入った。


暴れ者はそこにアジトを構えているという情報を得ていたからだ。


暴れ者の気配を探した。


やがて、俺たちは暴れ者の集落を発見した。

集落には、半数の軍を連れて向かうことになった。

半数の軍は、集落への道の右側のみに潜伏させた。



集落は木造の小屋やテントでできており、汚くて乱雑だった。


集落の中には、男女老若の暴れ者たちが武器を持って歩いていた。


俺たちは集落に近づいて、声をかけた。


「おい、暴れ者ども。私たちはミラージュ王国の王族だ。話がある」


俺はそう言って、青い剣を掲げた。


「王族だと?何だよ、こいつら。王国の犬が来やがったか」


暴れ者の一人がそう言って、俺たちを見下した。

予想通り彼らのレベルは70前後と総じて高い。

シムカ伯爵軍やゼロス子爵軍のレベルは50前後と一対一の勝負では

気迫や、剣技など、さまざまな要素で勝負は分からないが

流石に多人数での混戦ではレベル20の差を埋めるのは難しい。


「王国の犬ではありません。王国の王族です。私は第二王子のカイン・ミラージュです。これは第三王子のエリック・ミラージュです」


俺はそう言って、エリックを紹介した。


「第二王子と第三王子だと?なんだよ、それ。王国から追放されてきたのか」


暴れ者の一人がそう言って、笑った。


「追放されてきたわけではありません。私たちは北部を統治することになりました。北部の人々と王国との絆を強めることが私たちの使命です」


俺はそう言って、説明した。


「北部を統治することになった?絆を強めることが使命だ?笑わせるなよ。王国は北部なんか見向きもしないじゃないか。北部は王国から見放されているんだよ」


暴れ者の一人がそう言って、怒った。


「そんなことはありません。王国は北部を見放していません。私たちは王族として、北部に来ました。それが証拠です」


俺はそう言って、反論した。


「証拠だと?証拠じゃないよ。それは罰だよ。王国は北部に来ることを罰として、お前らを送り込んだんだよ」


暴れ者の一人がそう言って、嘲った。


「罰ではありません。私たちは自ら志願して、北部に来ました。北部の人々を守るために来ました」


俺はそう言って、主張した。


「守る?お前らが守る?笑わせるなよ。お前らは守るどころか、害しかしないじゃないか。お前らは王国の犬だよ。王国の犬が何を守るんだよ」


暴れ者の一人がそう言って、罵った。


「王国の犬ではありません。私たちは王族です。王族は領民を守る義務があります」


俺はそう言って、強調した。


「領民を守る義務がある?そんなの嘘だよ。王族は領民を守るどころか、搾取しているじゃないか。王国は北部の魔力草を奪っているんだよ。魔力草は北部の人々の命綱なのに」


暴れ者の一人がそう言って、非難した。


「魔力草を奪っているわけではありません。王国は北部の魔力草を買っているだけです。魔力草は王国にとっても貴重なものです。魔力草は王国と北部との交流の証です」


俺はそう言って、釈明した。


「交流の証だと?そんなの嘘だよ。王国は北部の魔力草を安く買って、高く外国に売っているんだよ。王国は北部の人々を騙しているんだよ。魔力草は王国と北部との不平等な取引の証だろ」


暴れ者の一人がそう言って、主張した。


「不平等な取引ではありません。王国は北部の魔力草を適正な価格で買っています。王国は北部の人々に対しても公平に扱っています。魔力草は王国と北部との信頼関係の証です」


俺はそう言って、反論した。

だが、実際にはそれが真実の面もある事を認めなければならない事も知っていた。


「信頼関係だと?そんなの嘘だよ。王国は北部の人々を信頼していないじゃないか。王国は北部の人々に対しても暴力や圧力を使っているんだよ。魔力草は王国と北部との支配関係の証だ」


暴れ者の一人がそう言って、非難した。


「支配関係ではありません。王国は北部の人々に対しても和平や協調を求めています。王国は北部の人々に対しても尊重や敬意を持っています。魔力草は王国と北部との絆の証です」


俺はそう言って、反論した。


しかし、暴れ者たちは俺の言葉に耳を貸さなかった。


彼らは俺たちに敵意を向けて、武器を構えた。


「絆なんてクソくらえだよ。王国なんて大嫌いだよ。お前らなんて殺してやるよ」


暴れ者の一人がそう言って、俺たちに襲いかかってきた。


「くそっ、話し合いは無理か」


俺はそう言って、青の剣を抜いた。


「仕方ないな。やるしかないな」


エリックもそう言って、赤の杖を構えた。


「王族の方々、私たちもお手伝いします」


シムカ伯爵やゼロス子爵もそう言って、武器を持って戦闘態勢に入った。


「暴れ者ども、覚悟しろ」


俺はそう言って、暴れ者に向かって突進した。


暴れ者たちは数で優勢だった。

そして力で剣をねじ伏せ、魔法は相殺し、連射してきた。


青の剣は魔力を流すと切れ味が増し、暴れ者の肉体を容易に切り裂いた。


赤の杖は魔力を流すと魔法が強化され、エリック得意の水魔法で暴れ者を切り裂いた。


シムカ伯爵軍やゼロス子爵軍も各々の武器を使って、暴れ者と戦った。


シムカ伯爵やゼロス子爵は初代ミラージュ1世の戦友の子孫として、剣と魔法の技術を受け継いでいた、また彼ら2人もレベルでは負けていなかった。


彼らは暴れ者の動きを見切ったり、弱点を突いたりして、効率的に倒していった。


俺たちは暴れ者と激しい戦闘を繰り広げたが、次第に暴れ者達が優勢になっていった。


レベルと数で劣る、シムカ伯爵軍やゼロス子爵軍暴れ者たちは次々と倒されていった。


「撤退!撤退だ!」


俺は、戦況が傾き始めたタイミングで撤退の司令を行った。


殿は俺とエリック、シムカ伯爵やゼロス子爵の4人で努めた。

山林の道を全軍が撤退を始める。

4人が並べばギリギリという狭い道を暴れ者達の攻撃を逸し相殺して

防御重視で撤退していった。


森深くまで撤退し開けた場所で待機していたシムカ伯爵軍やゼロス子爵軍。

暴れ者達の戦線が伸び切ったタイミングだった。


「ゼロス!合図だ!」


俺の指示で、魔力を練り上げていたゼロス子爵が一気にその魔力を開放した。

ゼロス子爵の大きなファイヤーボールが天へと打ち上がり爆発した。


うおおおおおおおお!

凄まじい雄叫びと共に、山林の右側から色とりどりの魔法が暴れ者達の側面より降り注いた。

そして、苦痛に呻く暴れ者達に全軍が殺到した。


形勢は一気に傾き、暴れ者たちは死んでいった。

最後は命乞いする者もいたが全て殺した。


俺たちは暴れ者の集落を制圧した。


「やったぞ。暴れ者どもを全滅させたぞ」


エリックがそう言って、喜んだ。


「初陣でこの成果とは。君達兄弟は素晴らしいな」


シムカ伯爵もそう言って、感心した。


「ありがとう。でも、これで終わりじゃないぞ。まだ他にも暴れ者はいるだろう」


俺はそう言って、警戒した。


「そうだな。これは一つの集落だけだ。暴れ者は他にもたくさんいる」


ゼロス子爵もそう言って、同意した。


「それなら、私たちは他の集落も探して、暴れ者を一掃しなければならない」


俺はそう言って、決意した。


「私もそう思う。私たちは兄弟だ。一緒に暴れ者を倒そう」


エリックもそう言って、同意した。


「王族の方々、私たちもお手伝いします。私たちは王族の方々の力になります」


シムカ伯爵やゼロス子爵もそう言って、俺たちに協力した。


カイン・ミラージュ


レベル 32

剣術   A/S

水魔法  C/A

幻影魔法 C/A

経験値補正 特大

体力回復 特大 気力回復 特大 魔力回復 特大


エリック・ミラージュ

レベル 28

剣術   C/A

水魔法  B/S

幻影魔法 D/A

経験値補正 特大

体力回復 大 気力回復 大 魔力回復 大


魔物と比べて暴れ者たちの強さは桁違いだった。

だが俺達が得られたレベルも桁違いだ。

正直、何度も俺とエリックは大怪我をしたがゼロス子爵の回復魔法で何度も助けられた。


傷だらけの俺達は一度拠点へと帰り、回復魔法を使って治療した。

魔力草が潤沢なので魔力の回復も容易で、傷も恐れること無く戦うことが出来た。


俺たちは暴れ者の集落から出て、他の集落を探し始めた。



「カイン、エリック、見てくれ。あれが魔の森だ」


シムカ伯爵がそう言って、遠くに広がる森を指さした。


「魔の森か。あそこには魔物や暴れ者が潜んでいるんだろう」


エリックがそう言って、不安げに言った。


「そうだ。魔の森は北部で最も危険な場所だ。しかし、あそこには素晴らしい宝物もあるんだ」


シムカ伯爵がそう言って、目を輝かせた。


「素晴らしい宝物?何だよそれ」


俺がそう言って、興味を示した。


「それは魔力草と同じく魔力を含んだ芋だ。滅多には見つからないが、その芋は大きくて美味しくて栄養満点だ。食べると体力や魔力が回復するんだ」


シムカ伯爵がそう言って、説明した。


「魔力を含んだ芋?それはすごいな。その芋の名前は何だ」


エリックがそう言って、質問した。


「その芋の名前はまだないんだ。私はミラージュ芋と呼んでいるが、どうだろうか」


シムカ伯爵がそう言って、提案した。


「ミラージュ芋か。それはいい名前だな。私たちの名前にちなんでいるし」


俺がそう言って、感謝した。


「では、ミラージュ芋としよう。この芋は北部の名産品になると思うぞ」


俺はそう言って、笑った。


「それはいいね。この芋を栽培すれば、北部の人々の生活が豊かになるだろう」


エリックがそう言って、期待した。


「そうだな。この芋を王国や外国に販売すれば、北部の経済も潤うだろう」


俺がそう言って、考えた。


「では、私たちは魔の森に行って、ミラージュ芋を探そう」


シムカ伯爵がそう言って、提案した。


「いいぞ。私たちも魔の森に行こう」


俺はそう言って、同意した。





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