ゆるく読んだ本の感想を書きます

土の骨

きらきらひかる 江國香織さんを読んで

大学生の時に図書館で出会ってから、江國香織さんの本が好きだ。

江國香織さんの文体がとにかく好き。サラサラしていて感情が絶妙なバランスで乗っているように感じるから。

そのこともあり、久しぶりに読んでみた。


ネタバレを避けたい方は、この先を読まない方がいいかもしれない。


小説の内容を紹介するのは苦手な為、カバー裏にあったものをお借りしました。


私たちは10日前に結婚した。しかし、わたしたちの結婚について説明するのはおそろしくやっかいである。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人は全てを赦しあって結婚した、筈だったのだが・・・・。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上がる誠実、友情、そして恋愛とは?傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。


出典:きらきらひかる 新潮社 江國香織 カバー裏より


旦那である睦月は医者で、何でも受け入れてしまう。妻である笑子が精神的に不安定になり泣き喚いている時にも静かに寄り添ってくれる。

この睦月の態度に驚いた。こんなにも人は優しくなれるのだろうかと。


医師であり患者の対応に慣れているのからなのか、医者という立場が心の安定を与えているのか、恋人の存在が彼の心を支えているのか。なぜ精神的に不安定な笑子を支えることができるのか、よく分からない。


私が笑子のように精神的に不安定な人と一緒にいれば、心が折れて落ちていってしまうかもしれない。どちらかといえば、私は笑子のような性格に近いから。


笑子は、少し変わっている。家にかけ飾っている絵画に対して歌を歌ってあげたり、植木鉢に紅茶の残りをあげたり。まるで自分の中学生の頃を見ているようで、少しか胸が痛んだ。


周りからおかしいと思われることでも、何故だかやらなければ気が済まないのだ。どうしたって辞められない。その奇行こそが自分を自分たらしめているような気がするから。我慢したら、自分がなくなってしまうような気になる。


睦月の方には笑子より付き合いの長い、紺という恋人がいる。結婚してからも睦月と紺の恋愛関係性は変わらずに続いている。

笑子も睦月もお互いに自由に恋人を持っていいと思っている夫婦なのだ。

しかし、笑子の方は、結婚する前に付き合っていた恋人と別れている。


笑子の方は今の関係を気に入っている。しかし、相手の親や自分の両親、友人から子供を持ったほうがいいと言われる度に心が揺れる。

みんな変化した方がいいと言うのだ。今の関係性が気に入っているのにも関わらず。周りは、睦月と笑子と紺の関係を知らないから。


結婚したことはないけれど、何だか結婚するって大変なことなんだなと思う。相手の親や自分の親の方針によっては、赤ちゃんのことについて言われるようになる。その重圧がどれほどのものなのか、何となく理解できるような気がする。


睦月の親は睦月がゲイであることを知っているため、人工授精について笑子に提案する

笑子は紺と睦月のけんか話について聞いた後、

「紺くんが睦月のあかちゃんうめるといいのに」

と睦月に言った。

話が進むにつれて笑子と紺はお互いの人間性を好きになり仲良くなっていく。だからこそ出てきた言葉なのかもしれない。


この後、あることがきっかけで睦月と紺の関係性が周りにバレてしまい、一悶着起こる。どうなるのか少しハラハラして読んだが、最後には綺麗に終わってよかったと思う。


ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

今回紹介した”きらきらひかる”が気になった方はよかったら読んでみてください。おススメです。

では、また。







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