3 オッドアイの男と衝撃は続く
その日の晩。半月が
そんな中、
「今朝はあなたのせいで凄く落ち込んだの。でも今こうして一緒にいられてとても幸せ」
「悪かったな。人の多い駅前で冷たく
「ううん。あの時は哀しかったけど今は幸せだからそれでいい……でも彼女さんはいいの?」
華奢な腕を伸ばしながら上眼遣いでうつくしい男を見つめる。すると男はそれに応えるように、
「俺にとって彼女は利用価値のある女に過ぎない。だから気にするな」
深緑色をした右眼と藍色をした左眼が、黒髪を
「彼女さん可哀想。私が本命に立候補しちゃおうかな?」
「ねぇ……この後はどうするの?」
「お前はどうしたい?」
「そんなの解ってるくせに……意地悪」
艶やかに塗られた赤い唇を尖らせる。拗ねた様子を浮かべるも、女の眸は興奮と期待に染まっていた。今朝駅前で冷たくされた時の
半月の淡い光が、寄り添う男女を薄く照らす。二人は仲睦まじそうに見つめ合いながら、妖しく
――続いてのニュースです。昨晩都内に住む二十歳の女子大生が、アパート三階から転落し意識不明とのことです。転落に至った原因は解っておらず……。
翌朝、何時ものように電車が走行する中、座席に居るショートヘアの若い女が、隣に座る友人の膝を突然ぺしりと叩いた。車内画面に映し出されたそのニュースに、女の顔が
「ねえこの大学生、
「え、嘘でしょ?
「そう! 今朝SNSで情報が
「そういえば昨日の朝、泣きながら走って駅の化粧室に駆け込む莉子ちゃんを見たよ。でも夕方に見掛けた時は朝とは別人みたいに元気そうだったのに」
「つい一昨日も、都内で大学生がマンションから転落したことがあったでしょ? かなり酔っ払ってたっていう
「……もうなあにその噂。怖いからやめてよね。莉子ちゃんも早く元気になるといいんだけど」
不穏が渦巻く思いを胸に、女子大生二人が無事を祈る――そんな中、隣の車両にその男は居た。同じ
束の間、無感情だった顔色に仄かな笑みが浮かぶ。他の乗客は誰一人としてその変化に気付いていない。口角を薄らと持ち上げたオッドアイの男は、一人
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