朝の短歌

夜は去る ととととはやる心臓にせかされ 明けのうつくしいそら


日曜にひとりひっそり起きた子の 静謐の朝 難解な図書


木洩れ日にほんのひと匙の春の蜜 天から降ったオルガンの音


冴えた霧 峻厳たる森 朝の蒼 彼女の祈りの敬虔なこと


夏至の朝 未だ夏ではないような ひかり蜥蜴の曖昧模糊な


あとすこし眠っていたい午前四時 眞白いひかりは夏の優しさ


森深く もやにぬれたるおさな木の 深緑にありてみどり光れり


蒼天に金の銀杏の映える朝 きっとあなたは好きじゃない朝


冷えた朝 おしゃべりし過ぎた次の朝 うすっぺらくて冷たく傷む


日も射さず雨も降らない 闇の朝 明けない夜への扉はここに

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