生きものの短歌

枯れ枝が白い柵から覗く三階 鳥なら私も、あそこが好きだわ


森の奥 苔生した樹に小さな芽 ヒタキの揶揄からかう声がしている


水平の全てをみわたす瞳孔は銀河をも知る 山羊の反芻


たおやかに頸をもたげた淑女の礼 優しさのよなキリンの睫毛


日の射してわたしは魚になったまま とろり溶けだし宇宙に還る


爽風に 小さな鳥の啼くこえに 透きとおってく感情のよど


真四角の白い小部屋にうずくまり 游ぐクジラを下から見てる


ねがうのは殻の巻目まきめの美しさ ひたとを食む蝸牛かたつむり


ふっくりと 世界の汚濁を包みこむ ま白い鳩のすべらかな胸


集落の苔生す巨樹の見たものは 人とはどんな生きものですか

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