百合の短歌

今たのしい? なんて我儘 訊けなくて、紅茶にミルク注ぎたしてみる


清潔に切り揃えられた指先の 素っ気ないほど うつくしい爪


泣いてるわ あなたが失くした色ペンを使うことすらできずにいるの


そっと見る けっして口では言わないの 前髪揃えたあなたは可愛い


勁いよね、幹線道路の街路樹は。 君の そういう面倒なとこ


淡いろのつきづきし人のセーターにわたしの選んだブローチを どうか


白い手の華奢な指輪を見咎めてうっそりわらう 私の恋は


恋だから、哭いて睨んで包丁で 頸の動脈切り裂くわ


みっともない私の羞恥の日々でただただ、あなただけが うつくしいもの


仄甘い古書に書かれた小説は 彼女と私の少女の頃の

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