第10話 イケメン、ホモゴブリンに襲われる【18禁な展開はマズイよ】その1



村長の家の広いテーブルに座り、俺たちはゴブリンの対策を相談していた。


「大変だあー、ゴブリンの襲撃だあーっ!」

扉が開いて、村人の1人が駆け込んできた。


「ゴブリンは、この僕たち、元祖・勇者パーティにまかせるがいい! ジーン、ザック、行くぞ!」

真っ先に大城が立ち上がり、部屋を出ていく。剣士ジーン、弓使いザックがその後に続いた。


ゴブリン自体の強さは、せいぜい人間の12歳児くらいだろうか。

刃物などを持って、暴れまくる12歳児を想像して欲しい。

一匹ならば、戦闘系の職業クラスなら、それほどの強敵ではない。


しかし、数が多くなると、話は変わってくる……。


俺たちのパーティも、ゴブリンが出たという方へと向かった。

村のはずれまで来てみれば、200メートルほど離れた森から、ゴブリンの群れがでてきて、村へと迫ってきているところだった。


ゴブリンに襲われたのだろう。5人ほどの村人が森の前で倒れていた。


大城たちのパーティは、真っ向からゴブリンに立ち向かっている。

「あのゴブリンは僕たちの獲物だ。この元祖勇者パーティにまかせておけ。他の者は、僕たちの戦いぶりを尊敬の目で見ているがいい! わーはははっ!」

大城が叫ぶ。



「わたしたちは戦わないの?」

「まあ……、ああ言ってるんだから、お手並み拝見といこう」

沙織の言葉に、俺は大城たちの姿を見ながら答えた。



王国近衛隊だけあって、剣士ジーンと弓使いザックは、かなり強かった。後衛職の大城も、うまく攻撃魔法を使っていた。


自称『元祖・勇者パーティ』は、次々にゴブリンの数を減らしていく。

「ゴブリンの50匹や60匹程度、この元祖・勇者パーティの敵ではないわ。うははは……!」

謎の自信に満ちた、大城の高らかな笑い声が、あたりに響いた。


森の中から、さらに続々とゴブリンが湧いてくる。


「ゴブリンの90匹や100匹程度……」

ゴブリンも100匹となると、かなりの強敵だ。

しかし、大城のパーティは、確実にそれを撃退し続けている。


大城のパーティは十分強いといえた。


「どうだ、見たかあーっ! 我が元祖・勇者パーティにとって、この程度のゴブリンなど、敵ではない。あまりにも余裕すぎるわ! わーはははは……!」

大城の、自慢げな高笑いが続く。


でも、大城のパーティ3人は、かなり消耗しているようだ。さすがに、ゴブリンでも100匹を超えてくると、倒すのは大変になってくる。


大城たちは、疲れたように、肩で息をしはじめていた……。


そのときだった……


森の中から、野太い獣らしき者の叫び声が聞こえてきた。


「ウホッ!」「ケツアーナ! ケツアーナ!」「ヤラナイーカ!」「ヤラナイーカ!」



「あれは?」

俺の質問に、

「ホモゴブリンの叫び声ですじゃ」

村長が答えた。


「ホブゴブリンか……。それはまずいな」

「ホブゴブリンってなに?」

沙織が、間の抜けた声をだした。

「俺がやったことのあるゲームだと、ホブゴブリンつーのは、ゴブリンの上位種だったな。もちろん、素のゴブリンよりもはるかに強い。数が多いと、かなりやっかいな相手かもしれないぞ。油断するなよ」

俺は唇をひきしめて、ゴクリとつばを飲みこんだ。


「違いますじゃ。ゴブリンじゃないですじゃ」

「え?」

ゴブリンですじゃ」

振り返った俺に、村長が答えた。


「ホモ? なんだそりゃ?」


「ホモゴブリンの幼生は、筋肉の多い人間の男の身体を好んで食べるのですじゃ。そのため、ホモゴブリンの親は、外見が人間の男の性器そっくりな産卵管を、人間の男のケツアナに挿入して、腸内に卵を産み落としますのじゃ」

「…………」

「卵からかえったホモゴブリンの幼生は、男の身体に寄生し、内臓を食い破りながら成長していくわけですじゃ」

「なんだよ、その最悪な生物は?!」


「ゴブリンは人間の女をさらって、レイプして子供を産ませますのじゃ。ホモゴブリンは人間の男の体内に卵を産み落としますじゃ。棲み分けができているわけです」


「…………」

嫌すぎる共存だ。



すぐに、森の中から新しい魔物があらわれた。


それは基本の姿はゴブリンそのものだったが、あきらかに体型が違った。

一般のゴブリンは小学生みたいな体型で、いかにも雑魚敵っぽい。しかし、そのゴブリンは筋肉ムキムキで、かなり強そうだった。身長だって190cm近くはありそうだ。


「あれが、ホモゴブリンですじゃ!」

新しく現れたホモゴブリンの数は20匹たらずだった。


数は少ないものの、一目見るだけで、一匹一匹が、ノーマルのゴブリンよりもやっかいな敵だとわかる。


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