3.魔王復活???

「悪魔やってます。」


 その囁きは魅了の能力無しでも、人間を惑わせるには十分過ぎる物だった。


「悪魔だと……?」


 ダースはベッドに押し倒されたままルシフェルの話を聞く。


 銀色の長髪が頬に触れてくすぐったくも、心地いい。

 

「そ、私は悪魔。ご主人様の御命令により君の願いを叶えにやって来た。」

「私の願いだと?」

「王になりたいんでしょ? 」

「な!?」

「何故って? うーん悪魔だからとしか今は言えないですね。勇者達を殺して、この国の王様になっちゃおー」

「私には力が無い。今のままじゃ不可能だ。」

「そ、不可能。だから私が来た。私達の力の一部を貸してあげる」

「悪魔の力か」

「そう。」

「どんな力なんだい?」

「この世界の魔獣、魔族を操る力を貸してあげる。あ、本人が死ぬのも避けたいから、おまけで身体能力も少しだけ向上させてあげるよ。」

「願ったり叶ったりだな。」

「じゃあ力を貸すね。これで君は強欲の使徒であり、魔王だ。」


 ルシフェルはダースの頬へと口付けをする。


 ダースの金髪に銀色のメッシュが生まれた。


「力を感じる……。凄い、これなら奴らを見返せる!」

「そういう言葉、別世界だと厨二病とか言うらしいよ。あとちょっと酒臭かったかな」

 

 ルシフェルはベッドから降り、部屋にある大きな窓を開ける。


「す、すまない。次に会う時の為に禁酒しようかな」

「私の仕事はここまで、次に会う時が来ると良いね。」

「私がピンチの時か王になった時に会いに来てよ。ご主人様とやらと一緒にさ」

「考えておくよ」


 ルシフェルが窓から飛ぶ。


 それを追うようにダースも窓の外を見るがもうルシフェルの姿はない。


「美しかったな。次会う為にも頑張らないと。てか、口付けするなら口にして欲しかったなぁ」


 そんな事を呟きながら悪魔に恋をした王子様は、悪魔の力の一部を手に入れた。


 まあ、もっとも、恋をするように仕向けたのはルシフェル《悪魔》ではあるのだが。


*********************

 

 次の日、早朝から王都に魔族と魔獣の大群が襲いかかって来た。


 ゴブリン、スケルトン、オーク、ケルベロス、ダークラット、オーガ。


 小さい魔族から巨大な魔獣まで。


「外壁から王都へと侵入させるなー!! !!」


 勇者が叫び、指揮を取る。


 外壁の上では魔術師部隊が森林へと魔法を放ち、地上では王国騎士団が魔獣達の殲滅へとあたる。


 勇者パーティのお陰で午後に差し掛かった今でも王都内への魔族や、魔獣の侵入は防げていた。


「魔王が蘇っているのか? そうでもないとこの量はおかしい。生息域的にもこんなに多くの魔獣は出現しないはずなのに!」

 

「とにかく止めるアルヨ! アキト!」

 

「そうだね、カロル! 城にはアイーシャだっているんだ。絶対に守り通してみせる。」

 

「その意気ネ!」


「さあ来い魔獣共、この戦いを終わらせて、俺はアイーシャと結婚するんだ!」

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