第20話 お父さんVSアコイス・ルード
「お前……うちの子どもに何してんだ!!」
お、お父さん!?
響き渡る金属音と共に魔力どうしがぶつかり合う。
バチバチと赤と水色の光がぶつかり合う。
「……あなたもまた名乗らないの?」
「お前なんかに名乗る義理はねぇぞ」
両者一度後ろにステップを踏み、距離をとる。
俺はこの状況に唖然としてしまった。
アコイスさんは僕たちの恩人だ。
でも、確かにこの状況だとお父さんが勘違いしてしまうのも無理はない。
早く何とかしなきゃ……ってやばい!!
二人はもう戦闘態勢に入っていた。
二人とも強く踏み込み、両者とも相手に向かって走り出した。
「お父さん! 待って!」
そんな小さな俺の声は聞こえる訳もなく、二人がぶつかり合う寸前の事だった。
ブウォン!!
「やめて!!!」
リュー……ネ?
大きな風を起こし、リューネはお父さんとアコイスさんの間に両手を広げて立っていた。
「ちょ、おいリューネ。どういうことだ」
「この人は私たちの命の恩人なの! グランディスさん早とちりすぎ!」
「そ、そうなの……か?」
「え、ええ。まぁ……」
.......
アコイスさんとお父さんの目が合う。その時、アコイスさんは、「ははは……」と、手を振った。
「誠に申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁあ!!」
お父さんは一瞬にして剣をしまい、ダイナミックに土下座した。
困るアコイスさんの顔なんて1ミリも見ずに、ただ地面に頭を擦りつけていた。
「あー、いや、大丈夫ですので、顔あげてください」
それからお父さんにも事の経緯を説明し、アコイスさんについても説明をした。
「え、コセオ魔法学校ってあのコセオ魔法学校か!?」
「え、ええ。そうだけど……」
「やっぱ凄いと思ったんだ! 俺はコセオの第一期卒業生なんだぜ!」
お父さんはすごい自慢げに話し始めた。
話し出したらキリがない……そう思った俺とリューネは目を合わせ、頷きあった。
「グランディスさん、そろそろ戻りましょう。アコイスさんにも迷惑ですし」
「あ、確かにそうだな。アコイスさん。本当に申し訳なかった。あと、本当にありがとうございます」
お父さんは深々と腰を曲げ、頭を下げた。
「いえいえ。モンスターの討伐もこちらの仕事でしたので助かりました」
さっき話の中でモンスターの話になった時、「あ、俺がそいつ倒しといたぞ」と、簡単に言っていた。
お父さんはちょっと抜けてるけどやっぱり実力者だ。
それを改めて実感した。
「では、私は学校に戻りますので。またいつか機会があれば」
「ありがとうございました! アコイスさん!」
アコイスさんはニコッと、笑いながら手を振って裏路地を出ていった。
「ところでお父さん。あのお花屋さん……」
「あぁ……ぶっ壊れた……」
「え、じゃあ……お花は買えないってこと?」
お父さんはうんうんと腕を組んで頷いた。
「どうしましょうか……エイミーさんの二十歳記念の贈り物……」
リューネが頭を傾げる。
どうしよう。このまま何も渡さないのもあれだ。成人だって言うのに言葉だけじゃそりゃダメだ。
……あ、いいこと思いついたぞ!
「お父さん。この後まだ付き合って貰えますか? あと、家にペンと便箋のようなものってありますかね?」
「両者とも大丈夫だぞ」
「分かりました! 急ぎましょう!」
「ちょ、ちょっと! どこ行くのよグラリス!」
俺は街を出て家の近くへと走って行った。
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