第35話 瀬戸内海
ベップ湾から北東のセト内海へ進路を向ける。セト内海で操船経験を上げ、物資の補給をしてからアメリカ大陸を目指す。感染者のルーチンを独り言や挨拶の反応から読み取り、刺激しない最良の行動が何かを即応する時に、感染者が丁寧ではない日本語を使っているだけで危険性が跳ね上がる。無人島で暮らすにしても燃料補給で陸地に近づく限り、感染者の言語が自分の母語である方がより安全だ。
しかし、航海素人の私がこのまま太平洋を渡ってハワイ経由でアメリカ大陸を目指すのは危険すぎる。タイフーンやハリケーンも問題だが、水や燃料の補給が必要だ。陸伝いで行くなら、ベーリング海峡を渡ってアラスカに行くのが無難だろう。氷河期にネイティブアメリカンがアジアからアメリカへ渡ったルートだ。
セト内海を横断してて陸地を見ると、どこまでも黒や赤の泥で覆われた土地に、岩山や真っ白な構造物が並んでいるばかりだ。「あらゆる有機物を奪われた」だけで地形が変わり出している。航海図を見ても今自分がどこにいるのか全くわからない。ベーリング海峡へたどり着けるかどうかも怪しくなってきた。
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