第23話 会話
奴らは有機物が露出していれば木片からアスファルトまでなんでも奪っていく。当然タイヤも例外ではない。私は車から離れる時はタイヤにアルミホイルを巻きつけて、可能な限り奴らの興味をひかないようにしている。世界が無事だった頃に見たら別の意味で関わりたくない見た目だ。
このため、タイヤが無事な車がもしもあるならば、生存者が乗車しているか近くにいるはずだ。残念ながらベップで見た車は全てタイヤのゴムを消失していた。感染者の雑踏はあちらこちらにあり、時折通行人同士で会話をするから滅亡しているようには見えない。だが、よく聞くと会話になっていない。片方は日本語で天気の話をしているがもう片方は英語で魚の話をしていたりする。何かの風刺だろうか。これがコミュニケーションの本質だとでも言いたいのか。言いようのない怒りが込み上げてくる。
奴らの造物主が、私と同じ主なのか違うのかはわからないが、誰だったとしても私たちにこんな仕打ちをする意図を問い詰めたかった。
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