第16話 時計
イワクニは日本側の公共機関(市役所)がある北側の地区と、在日米軍基地のある南側に大別できる。中には小さなアメリカがあるはずだ。クガの事件で即応し、基地の唯一の出入り口である橋を閉鎖していれば望みはある。
クガ方面からは北側地区に入ることになるが、北側地区繁華街、駅前のロータリーに生じた雑踏には米兵と思われる軍服の非アジア人がかなり混ざっており既に雲行きが怪しい。
駅前に時計屋があるのだが、今まで見た廃墟と違う違和感を感じたので近づいてみる。本来ある姿見大のショーウィンドウが完全になくなっている。
奴らは怪力の持ち主だが、暴力的ではないので、意図的にガラスを割ったりはしない。瓦礫があることも好まないので、割れた窓ガラスがあれば枠を残して撤去してしまう。つまり、店の窓が盛大に割れたことを示している。車が突っ込んだのか?だが店の中に大きな破壊の痕跡はない。
時計に有機物はほとんど使われていないので接収もされず、バッテリーが続く限りありし日のまま時を刻んでいる。規則正しく並んだ壁掛け時計がいくつかなくなっており、近づくと壁に銃痕があった。窓も時計も銃撃、恐らく流れ弾で破壊されたのだ。高級品を扱う関係で防犯カメラが複数台設置されている。店の奥の監視装置からハードメモリを取り外し、車の中で閲覧する。
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