第15話 放浪

アワジ島からホンシュウ島に戻り、ヒメジにある元自宅の集合住宅まで行ってみたが、木造建築だったことが災いし跡形もなく消えていた。シロアリに蝕まれそうな古い家屋は軒並みシロアリより恐ろしい物によって消滅していた。職場を確認する気は起きなかった。

故郷に帰ろうにも船も飛行機も絶望的だ。骨董品のようなディーゼル車を見つけて荷物を積み替える。ガソリンは1年そこいらで劣化するのでこういう時はディーゼル車でなくてはダメだ。「こういう時」に終わりは来るのか。

とりあえずニュースで見覚えのあるクガへ行ってみた。工場に残された記録を読み漁った情報をまとめたのが以前の手記だ。奴らの前には全く人類が無力なのを確認しただけだった。こういう時、映画なら海兵隊がやってきて怪物を蹴散らして助けてくれるんだがと思ったところで思いついた。イワクニに行けば希望があるのではないかと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る