第14話 放棄
「Eが感染した。恐らくコミニュティ中に感染は拡がってるはずだ。この無線の意味がわかるものは応答してくれ。自分は健康だと思うなら返事は明日で構わない。おやすみなさい」
21時、無線でまずは回収部隊の仲間に呼びかけてみる。要点を先に述べ、後半は当たり障りのない内容をゆっくり丁寧に述べる。怪物の精神では後半の言葉しか処理できないはずだ。
人生で一二を争う長い1時間だった。夜が明けるんじゃないかと思ったほどだ。結局、誰からも返信はなかった。感染者たちは日が沈むと建物や物陰に入ってうずくまる。今日のテントはどこも明かりがない。発電機も給油されなかったのか止まってしまった。いっそ、私もあの中に入った方が楽になれる気がしたが、諦めてアワジ島を後にした。
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