第7話 抵抗
まともな受け答えができる人間(以下、生存者)だけで集まろうと、各地でラジオやネットを使って宣伝が行われた。
幸い、感染者は頭が悪いので、ネットやラジオの呼びかけの意味を理解していない。
ヒロシマが面している海はセト内海(Seto island sea)といって、運河のような内海がある。私がいたのはこのセト内海の北岸にあるヒメジという町で、近傍に巨大な鉄橋で接続されたアワジ島がある。鉄橋の検問で試験を通過した者だけが入れるようにしているので近傍の生存者はアワジ島に集まれということだった。
感染者はゾンビのように見た目が違うわけではない。穏やかに、朗らかに、何の憂も浮かべず、それが人間として当然でしょうという顔でただそれらしい振る舞いをしているだけだ。なので、ヒメジからアワジ島へ行くこと自体は特に困難はなかった。発電所がまだ生きているので自動車の給電も滞りなく行えた。だが、感染者がインフラを維持できないのは既にわかっていた。ネットの交流が多いSNSなどはサービスの維持に常駐のエンジニアが必要だが、これらのサービスは既に機能不全を起こしていた。発電所も時間の問題だろう。
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