第3話 封じ込め

紅海東岸から始まった「ムーブメント」により、レアメタルや農作物の供給に支障が出始めるといよいよ外の人々も異常を実感し始めた。平和運動か何かだと思っていたものに対して、現地法人に対して彼らを労働に戻せという要求を送るようになった。気がついた時にはアフリカは再び「暗黒大陸」になっていた。生きている通信からことごとく返信が来なくなった。交信が繋がっても「忙しい」「手が離せない」と言う短い返信があるだけだった。


アフリカの異常が伝染病なのか危険思想が伝播しているのかは判然としなかったが、最初期の報告例からそれが接触により拡散することだけは推測されていたのでエジプト以南のあらゆる国との国交が停止された。


まずは外に拡がるのを防いでじっくりと研究しようじゃないかと、エジプトが最前線だと。

彼らなりに慌てていたとはいえ、今から思えばずいぶん呑気な話だ。国交停止から2日後ほどで彼ら、即ち私たちは呑気さの報いを受けた。

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