第9話 九九九九九九九九九
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「→↓→↓fgjkkkggfghjjjnfdddfhhjjjjkgポイントで《九九九,九九九,九九九尾の狐》を購入しますか?↑↑」
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はい、を選択し購入する。とりあえずこいつがおれたちのダンジョンの暫定最強モンスターだ。このモンスター、なんと驚くべきことにスキルを九つも持っている。ジェービーよりも強いモンスターを探していたらすごいヤツを見つけてしまった。
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《鑑定》……見たモノの性能を鑑定する
《武術適正:S》……異常に高い武術の適正を持つ
《魔法適正:S》……異常に高い魔法の適正を持つ
《
《
《狐火》……狐火を召喚する
《世界召喚:鳥居稲荷》……鳥居稲荷世界の環境を召喚する。
《式神召喚:
《魔剣召喚:九支刀》……鳥居稲荷世界でしか使えない。魔剣九支刀を召喚する。
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すごいモンスターだ。
武術と魔法の高い適正を持ち、しかも見ただけでコピー・学習できる。ジェービーよりも確実に強いし、たぶんおだがれたちに武術を教えることもできるだろう。こいつのスキルなら未知の技術であるこの世界の魔法にも対抗出来うる。
ただ、なぜだかネットに画像があがっておらず姿形がわからないのは不安だ。
まあ、おそらく尻尾の数が凄まじく多い感じの狐くんだろう。ペットとしてもかわいい可能性があるな。
なんて思っていたらレーナがゴクリとつばを飲んでいた。息も荒い。緊張しているのか?
「はあ、はあ……マスターはともかく、わたしはこれで死ぬかもしれません……でもがんばるから見ててくださいね……? はあ、はあ……」
レーナが死ぬ? どういうこと、と言いかけた時だった。
巨大な光が現れ、中からモンスターが現れる。それは数え切れないほど数多の金色の触手のかたまりだった。そのうち何本かが素早く伸び、レーナの手足に巻きつく。
「きゃあ!」
触手に持ち上げられ、宙ぶらりんになるレーナ。
「レーナっ!」
叫んだときには触手はおれにも巻きついており、おれもレーナとともに宙ぶらりんとなった。
「……あんたらか……ウチをここに喚んだんは……?」
金色の触手のかたまりの中から、色白の美少女が現れる。身長140センチくらいなのに胸の膨らみはひかえめながら十分にあった。子供のような顔なのに切れ長の目には大人以上の迫力があり、アンバランスな魅力がある。……きれいすぎて怖いくらい。
「あえて問おう……ウチのマスターはどっちや……」
「無礼者! マスターとわたしに対してなんたる仕打ちですか! 今すぐ離しなさい!」
触手の一本がレーナの首に絡みつく。
「ぐぅっ!」
「レーナ! おい! もうやめろっ! 仲間だろっ!」
そうか。レーナが危惧していたのはこのことだったのか。モンスターの力が強すぎるとおれたちの言うことを聞かないことがある。おれはそんなこと考えていなかった。危ない目にあってはじめて気がついた……
「く、く、く……すまんなマスター……この娘はウチの質問に答えんかったからお仕置きじゃ……ウチは弱いヤツに偉そうにされるのが我慢ならん……どちらがマスターかは最初からわかっとるよ……」
わかってて質問してたのか。狐……恐ええ……。ていうかこいつ全く狐要素無えな……
「なあマスター……ぼさっとしとらんでさっさとウチの名前つけたらどうや……」
「その前にわたしとマスターを放しなさいっ無礼者! ぐぅっ!」
「あんたもウチへの口の利き方を学ばんかいな……この場で一番強いんはウチや……マスターはともかくあんたに指図されたくないんやわ……」
「もうやめろ! レーナを放せ!
さもないとお前にとんでもない名前をつけるぞ!」
「なんじゃと……?」
狐の顔が青ざめた。
「そうですよ! マスターのかわりにわたしがお前の名前を考えてやります! マスターとわたしに敬意を払えないなら、お前の名前はブリビチ糞太郎! マスターどうですか?」
「あんたら正気か……? 三つの国を滅ぼした大妖怪のウチにブリビチ糞太郎なんて名前をつける気なんか……???」
「レーナはおれのパートナーだ! 軽く扱うことは許さない! お前の名前は……」
その瞬間、おれとレーナの拘束が解かれた。
「ひいぃぃ……! すまんかったっ! 初対面やし、なめられたらあかんて思ってイキってしまいましたんや……そやからブリビチ糞太郎だけは堪忍してくれませんやろか……」
触手でおれとレーナの肩をマッサージする狐。
「いいえ、許しません」
「そうだ許さない」
「ひいぃぃ! ごめんなさいマスター! ごめんなさいレーナ様!」
レーナは名乗ってないのに名前を把握している狐。あ、そうか《鑑定》のスキルで名前もわかるんだ。
「何でもしますからっ! なんだったら恥を忍んで一発芸させてもらいまっせ~……! 3回まわって コーン…! なんてな……! 命ごいするときしかせん芸やで~……!」
くそっ、狐が必死すぎて面白くなってきた。プライドの高そうな狐がここまでするとは名前ってモンスターにとってはすごく大切なものなんだな。
「レーナ……どうする?」
「はい。狐も反省しているようですし、もういいでしょう」
「ありがとうございます~! さすがレーナ様や~……神様みたいなお人やわ~」
「もう仲間に意地悪するなよ……」
アレは意地悪のレベルを超えてたけど……。戦ったら絶対勝てない相手にもレーナは引かなかったんだな。
「わかりました……ホンマ堪忍やで……」
「マスター、この狐の名前はわたしが考えてもよろしいですか? もちろんブリビチ糞太郎以外で」
「ん? いいよ。いつも名前つけるとき迷うし」
「レーナ様、お願いしまっせ~」
「この子の名前は《
焔……炎って意味だな。炎要素あったかな? レーナの感性的になにかあったのかな。
「おお、ええ名前やないですか……ウチ炎の扱いが得意やし……ありがとうございますレーナ様……」
まあ本人が気に入ったなら良しとするか。
「よし、それじゃお前の名前は……」
おれはカーソルの形を変形させ焔の文字を描き、視界に映る狐の姿と重ねて「選択」した。
「
焔の体が光に包まれ服が装着されていく。白い小袖に緋色の袴……いわゆる巫女さんの衣装になるかな……と思ったが、そうはならなかった。白い長袖セーラー服に赤いネクタイ、紺のプリーツスカート、そして黒いタイツにパンプス姿……いわゆるジャパニーズスチューデントスタイルとなった。
「お、おお……こういうのがマスターの趣味か……マニアやね……まあウチは尻尾を出し入れするからこういう丈の短いヒラヒラした服の方がありがたいかもしれん……」
そう言うと焔は大量の触手を引っ込める。そうなると見た目はおれやレーナと変わらない人型だ。あの量の触手、体のどこにしまったんだろう。
「いけずはしましたけどよろしくな……ウチは役にたちまっせ……」
「はあ……本当に疲れました……よろしく焔」
「レーナ様堪忍やで……あとで秘密のマッサージしたるな……」
「えっ」
「秘密のマッサージ!?」
エロいヤツじゃないだろうね。
「ウチは有能なのでなーんでもデキるけど……中でも《鑑定》は便利やで。名前から強さまでぜーんぶお見通しやからな」
「わたしたちの強さもわかりますか?」
「ええ、ええ。よーくわかります……あんたらふたりとも言うたら悪いけど弱いなあ……ただ見込みはありまっせ……レーナ様は武術適正がDで魔法適正はA。マスターは武術適正Cで魔法適正はAじゃ」
「おお、おれたち魔法がAなんだ」
どの程度かはわからないが魔法の適正は高そうだ。
「世に言う天才レベルやな。努力次第で魔法を極められまっせ。とはいえウチはこの世界の魔法を知らんから教えることはできん……鳥居稲荷の魔法……巫術なら教えられるが、どうせこの世界では使えんからな……」
「武術はどうですか?」
「マスターは適正Cやからウチが指導すればそれなりのもんになりますわ。努力次第で奥義のひとつくらいは。レーナ様は努力次第で免許皆伝くらいですわ」
「まあ努力次第ってことか」
「はあ。やっぱり適正低かったです……」
レーナは落ち込んでいるようだ。
「そうやなあ……ふたりとも今のままやと弱すぎますから、ある程度のウデのヤツにはどうしても舐められてまうじゃろなあ……弱くて困ることはあっても強くて困ることはないですし……」
今後、モンスターを購入するたび襲われていたら身が持たない。おれたち自身が強くなる必要があるということか。
「それはそうですね」
「武術がんばろう」
と、おれが言ったとき焔がレーナを見つめながら、
「にしてもレーナ様、なんであんたスキルを使わんのや?」
と言った。
「え? わたしにスキルなんてあるんですか?」
「やっぱり知らんかったんか。レーナ様のスキル便利やで。《念話》や。遠くの相手と念で会話できるんや」
本人も知らないスキルまで見抜けるなんて《鑑定》便利すぎる……。
「すごいじゃないかレーナ。さっそく使ってみたら」
「そうですね。とりあえずはジェービーと念話してみたいですね……」
「ウチは《念話》は使えんが巫術に《夢山彦》ゆう似たような魔法があるから、要領はなんとなくわかるで。夢山彦の場合は頭の中で相手の姿を思い浮かべながら何度も名前を呼ぶんや。相手がこっちの呼びかけに気づいたら会話成立や、念話も似たようなもんやろ」
念話が上手く使えれば、ジェービーの情報収集の効率も上がるな。レーナも便利なスキル持ってたな。
「よォし! やってみます!」
上手くいくといいな。がんばれレーナ!
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