第9話 番外編 イザナミのクリスマスイヴ
「あ~~、彼氏欲しいなーー!」
昨日は西洋の神たちとのコンパで冥界に行ってきたが案の定、めっちゃ年上の男神とか
イザナギには悪いけど、あなたはもういないし、ちょっとぐらいは、ってね。
でも先生にこれを話したら、『それは簡単だよ、たしかに君は尽くすタイプだけどちょっと重たいんじゃないかな』って失礼な言葉が返ってきた。当たり前でしょ、人も神も女は愛されてから初めて相手を愛するんだから。神話の愛はちょっと美談がすぎると思っているけど。
そういう先生には彼女とかいないのかって聞いてみたら『いいかい、聖夜は決して恋人のために作られたんじゃないからな』と言って、すごい剣幕でどっか行っちゃった。
仕方ないから私は読書でもして暇を潰してた。最近、世間で流行ってるのは、突如現れた魔窟を調査して西洋の幻獣を倒すものが流行っているの? 私は源氏物語しかまともに読んだことないから、いい機会だしぼちぼち読んでみることにする。そういえばこのスマホも先生から与えられたものだっけ……、先生まだ怒ってるかな。
「何、夢中になって見てんの、イザナミ」
「先生? 遅かったね。もう200話は読み終わってるよ」
先生はあきれた表情をする。
「漫画みたいな世界に君は生きてるじゃないか」
「漫画じゃない、小説」
先生はそんなことに構いはしない。先生は手に下げたビニール袋を私に示す。
「それよりさ、買ってきたんだ」
「?」
先生は机に、近くのケーキ屋で買ってきたショートケーキを2つ並べる。
「なんだ先生、怒ってなかったの」
「何に怒ると言うんだい」
先生はとぼけた。私たちは仲良く向かい合ってテーブルにつき、ケーキを頬張った。
「クリスマスは家族で過ごすものだろ」
「やっぱり気にしてたんだ」
窓の外では雪が降っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます