第9話 暇なのでサインだけでも

おっほん!とナイフは咳をだす。意味なんて無いぞその行為に。ただ雰囲気は作れたのだろうね。


「このエッグケイブというか、冒険者の任務でもそうですが、五感のうち1つで戦うことは自殺行為です。頭、もし悲鳴が聞こえて助けなければいけない場合どうしますか?」


はぁ、どういう事?悲鳴が聞こえれば助けに行くでしょ。それが人間としてと道理で。


「その声は魔物が擬態した場合もあります。魔物は頭がいいです。熟練した冒険者でも格下の魔物に殺されることも多いです。」


んな事あんの?怖。人間の声を真似ているのなら判別は耳では出来ないんだろう。そこで五感の聴覚以外を使うと、、何を使うの?



「この場合、嗅覚を使います。魔物には独特な匂いがある奴が多いです。風呂とか入りませんからね、あいつら。

この様に、ひとつの情報で体を動かさないように、分かりしたね?ユーロさん。」


「あたしかよ!?」


名指しできたよ。意外と恥ずかしいんだよね。これ、普通に公開処刑だからね。

まぁ、概要はわかった。他にはある?


「ありますが、それはその時話します。もうすぐ受付です。歩きましょう。」


「その時は俺が倒すだけだ。(イケボ)」


俺のセリフじゃないそれ?ユーロ。




2分ぐらい歩いたかな?

少し俺に来る空気が冷たくなったかな。進んでいる証拠だ。だがまぁ、ここはまだ安全なので人がいるのだが。

少し空気が重い。なんか命知らずが1人で未開拓ルートに行きズタズタになって帰ってきたらしい。命はそこに置いてきてね。当たり前のように人が死んでいる、それは異世界だから仕方が無いと言えばそれまでだ。それでも看過できないものもあるのだろう。



「頭。ここが受付です。ここで、この先へ行く同意書を描きます。」


えっ?書く?聞いてないよ?


「ここに必要事項と名前を書けばいいだけです。5分もあれば終わるでしょう。」


「本名書いた方がいい?ナイッチ?」


「お好きに困らなければですが。ユーロさん」


ごめん。今日1日終わるかもしれない。

だって、読めない!!!!

俺がその紙で見たのはよく分からない字だった。日本語と英語とサウジアラビア語の文字部分を繋げたみたいな字をしている。全くわからん!名前も日本語書く訳にもいかないし。

早速詰んだ?ええい!仕方ない!おい神!いるか?



【はいはーい。いますよ?早くないですか?もう魔物がいましたか?って、まだ受付じゃないですか】



俺にとっては1番の魔物だよ。字が全く読めん!!何とかしてくれ!



【それをしてもらうにはー?頼み方って言うものがあるんじゃないですかー?神様今まで馬鹿にしてごめんなさいとかー?聞きたいですね。】



この神!人の足元みやがって!確かに神が居なければこの状況を打開できない。だが、こいつにそんなことを言うのは!



【私暇なんで帰りますねー。そんなことも言えないってことは、さほど困ってないということでしょうし。】



待て!!わかった。神様今まで馬鹿、にして、ごめんなさい!!


【おおー。よく言えましたね。パチパチパチ】


屈辱だ!!屈辱の炎で体が焼けそうだ!ただ!契約は果たした。対価をもらおうか。



【良いですよ。ではこの世界の文字をあなたに変換させますね。それからあなたの書く字もこの世界の言語に見えるようにしておきます。】


おおー!ありがとう!!いややっぱり神様はすごいな!!



【棒読みって嫌ですよね。あぁ最後に─────】


ん?何?



【──────その契約書、サイン書かない方が良いですよ。てか前の人、人間・・じゃないですし。】



は?ってはぁ!?くそっ!早く言え!!

ええいままよ!!剣しかないから間違いだったはごめんなさい!!


「はぁ!!!」


俺はすぐに受付を斬る。他のやつから見たらペン持ってたやつがいきなり剣持って切ったという事。そりゃあパニックになる、、、はずだった。

その人間は煙のように消え、書いていたペンも、紙も机も消える。


「何が起きた!クスッチが切ったら遊んでたペンが全部消えた。まさか私にそういう能力が!?」


あぁ、うんそうだね。そうかもしれないね。

実際は違うだろう。あの時ナイフは受付と言った。だが良く考えればおかしい。ここは死の森、人が居るはずないのだ。だとすれば狙いは俺達に偽物だと気付かせることか。

合ってる?ナイフ。


「あー。試すようなまねしてすいませんでした。ここは俺達盗賊が安全に開拓したα地点です。もしこのぐらいの偽装魔術も見抜けないのであれば引き返そうとしていましたが、杞憂のようでしたね。合格です。」


なるほどね。確かに俺とシロの時偽装してた魔術を使えばこのぐらいは出来るのか。ほんとになんでもありだな。魔術って。


「ずごいじゃん!あたしは全然気づかなかったぜー。クスッチ!」


ユーロがなんか言ってる。嘘つけ、君ペンで遊んで1文字も書いてなかったろ。もうその時には受付の人が煙って気づいていたな。



「頼もしい仲間ですね。」


珍しく俺から本音が口より出る。この3人なら攻略も何とかなりそうだ。

α地点には見事到達。これより先に行く。



次なる目標 γ地点




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狼に千回以上食べられた後、世界最強のロリになって再出発します @yuno1109

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