第8話 どこまで行こうと塵芥

【暇ですね。なんか話してくださいよ】


何をだよ。今は休憩だ。何も話さないから休憩になっているんだ。


【あなた日本でどうやって死んだんですか?】


・・・・・・それ聞くか? デリカシー無いの? まぁ隠すことでもないが事故じゃない、まぁ、故意的でもないと思うけど。


【どういうことですか?】


108回


【それはなんの数で────】



俺がその日殺されかけた回数だ。


【──────え?】


死が偶然ではなく必然だったら? それは結構、悩まなくて済む。生きる可能性などあるから人は夢を見るんだから、だったら確実に死ぬ日を知りたい。

そしてその日が訪れた。あの時あれがああなってとかじゃなく確定で死がそこにはあった。

つまり、どうやって死んだかと言われれば、死ぬべくして死んだって感じだ。

なんで死んだかは分からん。ナイフで後ろから刺された感覚はあったが誰だったんだろうな、あれ。

んでよくわからんジジイにもっかい殺されて転生してオオカミに食べられていました。よく狂わなかったな俺


【それで納得できるんですか?】


できるじゃなくて、するしかないんだろうな。俺は死んだ。それは変えられない事実。

はぁ、もういいや。話題を変えよう。明るい話題に。



【じゃあ、ロリになってどうですか?】


最悪な質問来たな。むしろこっちの方が答えにくいよ。何言っても防犯ブザー鳴らされるもん。まぁ身軽だな。ただ、メンテナンスが面倒くさいな。


【女性の努力をメンテナンスって言うのやめましょ?まぁ、確かに的を得てますけど。

てかそういう事じゃなくて、自分の裸とか見ました?】


・・・・見たよ。



【あぁ、やっぱりまだ見てないんですよねー。ウブですねー、、、えっ?見た?】



だったら何?



【あー、うん。まぁ、ガンバ!ハハハハハ!!】


音声が切れた。おいどういう事だ。おい、神コラ。最後の慰めはなんだ。



「頭休憩は終わりで、そろそろ行きましょう」


「ええ、すみません今行きます」


ナイフが来た。もう10分経ったのか。全く休憩出来なかったよ。仕方ない、行くしかないか。聖なる力、肩こりにも聞くって言ってたけど当ててパリピになったら嫌だしな。使わないでおこう。

てか、聞けばよかったな。なんでパリピになったのか。まぁ、聞いた所で使わないけどさ。



エッグケイブ攻略作戦概要。



出立→α地点到達(10分)→休憩(5分)→γ地点到達(40分)→休憩(10分)→ボス魔物討伐(50分想定)→ω地点到達(5分)→エッグケイブ攻略(2時間)らしい。



いや分かる。つめつめだなって。だがこうでもしないと午前中にスプラッタ王国に行けないのだ。するとスプラッタ王国から出ることが出来ずに、3人で部屋探す事になる。誰得だ。あと、ナイフいわく泊まらない方がいいとの事。


、、であれば行くしかない。

正直嫌だ。あの洞窟から臭うのは血だ。微かだがここでも臭う血の匂い。入れば出られない地獄だ。

まぁいいや。ここで駄々を捏ねてたって始まらない。いざとなったら剣でぶった切ればいいんだから。


そうやって俺とナイフとユーロは洞窟に足を踏み入れる。

その1歩目。


「わぁー!!!!」


ユーロがいきなり叫び出した! 何!?も うトラップか!?


「ユーロ! どうしましたか!?」


俺は咄嗟に聞く。ナイフも周囲を警戒している。俺も見たところ怪しいところは無いが、、


「あーごめん。こういう洞窟って叫びたくなっちゃうよね?」


あっ、ドッキリでしたか~、なるほど~。はい死刑。というのはダメなのでユーロ、ゲンコツ1発で我慢してやる!!!!

そして俺の拳がユーロの脳天と正面衝突しましたとさ。



エッグケイブ攻略 作戦段階その1 α地点へ到達を開始。



「グスッ、あたしはグスッ! 皆を喜ばせグスッ! たくて」


はいはい。うるさい。どう喜ぶんだアレで、大声で耳が潰れたかと思ったわ。てか、叫ぶな。

ここはまだ安全だからいいけどさ。このエッグケイブも未知のエリアではない。約5%位は魔物も出ずキャンプ場となっている。その最終地点が「α地点」

つまりそこからが地獄ということだ。なので今は話せる。

ここではエッグケイブ攻略での注意点をって。ナイフ何してるの?


「あぁ、少し岩壁を削っています。保存するので。」


ご気楽なこって。こちらは今もビクビクよ。ただ、さすが異世界というものだ。エッグケイブ、さすがの景色だ。


岩肌は青紫色で所々ゴツゴツしている。下を見れば小さい水晶や雪のような花があり、見ているだけで楽しい。

岩壁もチカチカ光ってるし、、ってなんで光ってるの?



「あぁ、あれは光虫ひかりむしって奴ですね。虫とは名ばかりの岩しか食わない生物ですがね。岩を食べてそのエネルギーを光に変えて光ってるとか。器用ですよね。」



ほへー。あの星空みたいに光ってるの全部虫か。飛ばないのであれば良い。少し触ってみたいが日本という穢れの無い国で育った自分には荷が重い。



「おおー! 裏側気持ち悪、光が凄いね! 岩なんか食べて美味いのか? もっと美味しいもの食おうぜ、なぁ兄妹!」


離してあげな、ユーロ。てか触るな。得体の知れないものなんだから。虫とは名ばかりなんでしょ?触れて大丈夫なの?



「触れても大丈夫ですよ。ただ食べちゃいけません。」


やっぱり毒か。


「いえ、消化されないので永遠に腹が内側から光ります。」


もっと嫌だな。ウルトラ〇ンみたいじゃん。あれは胸だけど。ちょっと触ってみたいという自分もいるが。それはさておき

さて、体験ツアーも終わったのでここからナイフさんよりこの攻略に向けて注意点があるようです、ちゃんと聞きましょう!!


エッグケイブか。エッグ、、卵食べたい。



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