第6話あの、助けてください。
あの、最初に一言言わせてください。助けてくれ。
「ねぇー聞いてんの? テンションあげよーぜ!
ユーロ行きます、シャキン! どお? かっこいいかなー?いいね! でさー! でさー! ねー!」
「あう、あう、あう」
何だ。この地獄は、俺が何したって言うんだ? ただ浄化当てただけよ。まぁ、確かに何も言わず当てたのは謝るけどさ。こんなに変わる? 砂漠から海ぐらい変わってるんだけど。
あの浄化は盗賊が改心したところから見て【悪心】を持っている奴だけが対象かと思っていたが、悪心を持っていないとこうなるのか?
つまり? 善の心を持っているやつに浄化かけたらパリピになるの? 途中式どうなっているの?
あー! てかうるせぇ! 知らないよ! 何がやばたにえんだ! やばたにえんはお前の頭だ。くっつくな! うぇーいじゃない!!
もう知らん。少し経てば電池切れになるだろう。てかなってくれ。あのテンションで24時間は普通にきつい。
まぁ、こっちもこっちで問題なんだが。
「頭! 部下全員連れてきやした! 申し訳ありませんでした!!」
一同「申し訳ありませんでした! 頭!」
「私は頭になった記憶は無いのですが?」
ほんとにいつから俺は頭になった?そんなプレミアム会員的なノリでなれるものなの?
事の始まりはあの盗賊の元頭に浄化をかけた時、面倒だからほかの全員にも浄化をかけたんだけど、これがまじの悪手だった。
うるさい。何言ってるか聞こえないし、目がキラキラしてて眩しいし、なんかソワソワして嫌だしさー。
もう一度言う助けてくれ!!
夜になり火がパチパチと音を鳴らして燃えている。俺は何をしていたかって?そりゃあ、頭を抱えていたよ。
「だーかーら! 私はそこで死霊魔術を使ったのよ! ボンボンボーンってさ! そしたらクスッチが言ったのよ!
私と一緒に行きましょう(イケボ)ってさ! 盗賊達よ! 分かるか!この光がよォ!!」
「ははは! さすがユーロさん 話が上手い! もっと話して下さい!!」
電池切れしなかったわ。並列接続で店で出しても文句言われないレベルだわ。
てか言ってないんだよ。そのセリフ。そんなイケボで。
明日もこのテンション? 頭が痛くなる。
「賑やかになりましたね。ご主人様。」
シロはこっちで一緒に炎を見ている。静かでいい。腹に持たれかかればクッションになるし。
だが賑やかになればいいもんじゃない。
「うるさいのも考えものですがね。頭に響きます」
本音を言えるのはいい事だ。ともかくこれからする事は確認しなくては。
「シルバーウルフって剥製にしたら高いんですか?」
「やめてください? 何を考えています?」
冗談、冗談。
本題は
「シロ。しばらくここを拠点にしようと思います。人間が沢山居ますが貴方はどうします?」
「ついて行きます。ご主人様」
正直でよろしい。こき使ってやるからな。
火が眩しい、ユーロお前はあっち行ってろ。
そして今後の予定としては。
「スプラッタ王国に行こうと思います。主に私一人で、調査と言うやつですね。冒険者登録もしてきます。貴方はここで待機で 目立ってしまいますから」
「寂しくなります」
まぁ、流石に泊まりはしないよ。
少しだけ思うことが出来る、なぜユーロという王女があそこで捨てられていたのか、もしも俺の予感があってるなら、確かめなくちゃいけない。
この世界が、もし腐っているのならば尚更。
それに、異世界に来て使命がないのなら、誰かを1人ぐらい助けてもバチは当たらないだろうし。
あっあと、冒険者登録はただ単にやってみたいだけ、盗賊も言ってたが冒険者登録はやる意味は無いらしい。ただ異世界に来たらやってみたいじゃん?
「夜には帰ってきます。大丈────」
「お待ちください!」
何?って元頭ね。どしたの? え? 一緒に行きたい?
「私はもともとスプラッタ王国の臣民でした。案内も出来ますし護衛も出来ます。どうか私をお連れください!!」
ほへー。平服のポーズで言ってくる。どうやら真面目らしい。この目を見て茶化すほど俺は馬鹿じゃない。こいつは本気で俺の力になりたいって思っている目だ。
ひとり居てもかさばらないか。でも顔は?
「大丈夫です! 変装の術を身につけてますのでご安心を!」
おおっ! そっかなら安心だ。この死の森にスプラッタ王国の元王女がいる。果たしてどこまでが偶然か、そしてどこからが必然か。
やることは有名になること。そうすればここを荒らすやつはいなくなる。縄張りと主張するからね。
「明日の早朝に行きます。用意しておいて下さい。あと名前は?」
「わ、私に名など、おこがましいです」
ダメだな。名前が無いと困るし、何より会話が無くなる。ではつけてあげよう。俺のネーミングセンスの無さに震えるが良い! 悪いのは決めなかった君だ!
「では君の名前はナイフでどうですか?わたしを守る剣として」
どうだ?恥ずかしいか?厨二病みたいな名前だろ、、ってあれ?なんで泣いてるの?
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとう!ございます!この名を今日この日より承りました!」
スプラッタ王国の視差にはナイフだけを連れていこう。
忙しくなるぞここから。頑張ろう!!
余談ですが、風呂に入って自分の体見て泣きました。
息子ー!!!!!! まだ使ってなかったのに!!!
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