第4話 シロとの楽しいQ&A

気絶している。泡吹いて、昭和のテレビでしか見た事ないよ。起きるまで時間が掛かりそうだし少しシロと話すか。



はい。という訳で、【教えて!シロ先生】のコーナーです。


Q 「ここは何処ですか?シロ先生」


A「ここは別名死の森とも呼ばれる魔物の群生地体です。常識がある人ならここには入りません」


うるせぇ。こちとら転移じゃ。


Q 「ほかの魔物も喋れる?シロ先生」


A 「いいえ。喋れるのは魔物の上位個体のみです。

シルバーウルフという私の種族でも喋れるのは私だけでした」


まぁ、人っ子一人居ないんだったら話す必要も無いしね。ん?それは違う?


Q 「どういう事?シロ先生」


A 「この森に入ってくる人間はいないだけで、この森に住んでいる人間はいます。盗賊が住んでいて油断ならない集落です」


ほへー。行きたくねー。犬〇村見たいなのもあるのか、流石異世界。

まぁ、こんな所か。

ん? シロがソワソワしている。何?



「あ、あの可愛いですね。その鎧」


「あ?怒」


「ひぇ!?なんで怒っているんですか?褒めていますよ!」


こちとら高校生やぞ、しかも男!ちょっと悲しいのよ。

感触的に息子も死んでるし、胸もある。

まぁ、でもなってしまったからには有効活用する他ない。

アッチ的な意味じゃないよ?

神は言っていた。あなたに使命は与えませんと、であれば何をしてもいいはずだ。


そして、これも問題だ。トイレ行きたい。草むらに行ってするしかないか。

ご丁寧にあの女神下着までプレゼントしている。鎧を脱ぎ前屈になり放出した。目の前にお花畑が見える。

何故かわからんが目からも水が出ている。 頼む。ふれないでくれ泣





さて俺の尊厳が根元から壊れたところで、そろそろあの女の子起きたかな?

部屋に入ってみよう。



部屋に入ると、意識が戻っていた。

また気絶すると面倒なのでシロは外に放り出しておく。

さっきはそんなに見てなかったけど普通に美人だ。

青色の長髪に着物姿。背丈的に高校生ぐらいなのかな?

さぁ、このまま2人とも黙っているとギスギスするからなんか話してくれないかな?


「あの、貴方が私を助けてくれたのですか?」


おお!テンプレのセリフだ。いいね、テンション上がるよ。


「子供」


その一言要らん。


「そうですね。私の力であなたを治しました。お礼は必要ありません」


強がりました。全財産下さい。出来れば簡易トイレとか無いっすか?


「聖人でもあるのですね。私の名前はユーロ・スプラッタ。この近くのスプラッタ王国の元王女です」


俺の魂に衝撃が走る。

やべぇ!訳あり物件だ!しかも結構面倒くさそうな。

触らぬ神に祟りなしだ。ここは穏便に。


「助けてくれたお礼がしたいです。貴方の力になるので旅に連れて行ってくれませんか?」


また来たよ。何?この世界は助けたら着いてくるの?あー、仲間になりたそうにこちらを見つめてるよー。

仕方ない、必殺責任は君じゃない構文で断るか。


「申し訳ありません。貴方の力では着いて来れないと思います。世界とは理不尽です。ですが、あなたが強くなった時また来ます。その時は一緒に」


どうよ!責任は君じゃなく、世界の方だとちょっとフォローを入れて置いた。

これで伝わっただろう、俺の誠意が。


「分かりました」


ほらね。


「つまり、強くなればいいんですね?」


ん?

何?いきなりロウソクと床に魔法陣書いてるけど。


「今から死霊魔術を使います、90%の確率で魂が天に登りますが10%でとてつもない力を冥界との契約で貰えます!お待ちください!必ず成し遂げで来ます!」



違う! 違う! 待て待て待て、

なんで?この世界に生きるやつは極論しか出来ないんだ。

てか何?死霊魔術って。俺にも被害来そうなんだけど。

うわー!なんか、彼女の後ろにでっかい霊が見える!触れられてビクン、ビクン! ってなってる。普通にホラーだって!

あーもう! 仕方ない、結局こうなるのか!


「分かりました。一緒に行きましょう、とりあえずそれ止めてください!」


「ごめんなさい、無理です。途中で止めると悪霊が世界に流れててしまって一日足らずで滅んでしまいます! 世界ハ我ノ手二落チル、コノ世界ハ終ワリダ!」


オイー! なんちゅうもんやってんだ。なんか乗り移ってるし! どうすんの ?嫌だよ? これで世界滅ぶの。バットエンドでももうちょいいいオチあるよ?

そんな困った時はこの浄化。聞くか分からないけど浄化してみるか!!



【ピカー】

光を当ててみる。なんかシュールだな、この絵面。

おっ! 霊が苦しみ出した。あっ体が塵になっている。

埃スタイルなんだね、スタイルってなんだ。




【ああー、我は消えるか。だが憎しみの連鎖は終わらない。いずれ世界を滅ぼす巨悪となって復活してやるわ、フハハハハ】


すっごい綺麗なチリになって消えた。幻想的だね。てか霊が消えたけどなんか最後にとんでもない言葉を放って言ったな。てか幽霊も消せるんだねコレ。カビ扱いなのかな?


「どうして?死霊魔術が消えた。先程まで死した叔母が手を振っていたのですが。」


嫌だな。その景色 しかもそれ、見えちゃいけないものだよ。川の中でも1番見えちゃいけないやつだよ。桃とか流れてこない川だよ。


「あぁー。良かったです。私の名前はクスノキ、では行きましょうか。ユーロさん。」


「はい!これからよろしくお願いします!クスノキさん。」


【ユーロが仲間になった!!】


なんか出てきたな。なにこのわかりやすいテロップは。


【思い出として写真を残しますか?】


いらん!!


そしてそのまま俺とユーロはシロに会う。そこでもう一度気絶したのは言うまでもない。はぁ、先が思いやられる。


───────


少し歩いていると霧が出てきた。呻き声も聞こえる。これはユーロのいびきか。あと、太ももにシロの毛がチクチク刺さって痛い。降りたい。

おっとどうした?いきなり止まって。


シロは止まり目の前を威嚇している。


「どうしました?」


「ご主人様、申し訳ありません。罠にかかりました」


シロから殺気が出ている。


「罠とは?至って普通の森で───は?」


何が起きた?俺がさっきまで見ていた森が消えいきなり集落が現れる。しかも俺たちはその真ん中にいる。


「恐らく敵の認識阻害魔法ですね。私の鼻も欺くとは」


甘く見ていた。これが魔法……最早なんでもありだね。日本に無いわけだよ。こんなものがあったら地球なんてとっくに滅んでいるだろうしさ。

そして集落。おそろくシロが言ってたあれか。



「ゲヘヘヘ、ここに来るとは運がないな!」


「そうですね、兄貴、女子がいっぱいですぜ!」


「シルバーウルフも良い剥製になる。鴨が葱を背負って来たな」


明らかにモブABCみたいなのが来た。やはり盗賊の集落か。

ちょうどいい。試させてもらおうか。この力を。

あの神が言っていた世界最強の力とやらを!

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